【Tさま】からA評価論文をご提供していただきました。
受験生の方はぜひ参考にしてください。
(1)課題の抽出と観点
1)都市間移動のサービスレベル向上
我が国の高規格幹線道路は計画延長の約9割が概成し、国民の生活レベル向上に寄与している。しかし、高速道路の約4割は暫定2車線区間であり、都市間連絡速度は諸外国に比べ大きく遅れている。また、地域による連絡速度のバラつきが大きく、速達性とアクセス性が確保された誰もが自由に移動できる道路が求められる。したがって、我が国の国際的地位向上の観点から都市間移動のサービスレベル向上が課題である。
2)渋滞による移動時間ロス
道路は人や地域を相互につなぎ、人・モノ・情報の移動を支援している。しかし、一部区間では交通の集中等により慢性的な渋滞が発生し大きな時間的ロスが生じている。これは、自動車による移動時間全体の約4割を占める膨大な時間であり、経済的損失が顕著である。したがって、我が国の経済成長の観点から渋滞による移動時間ロスが課題である。
3)物流危機への対応
物流は国民生活や経済活動、地方創生を支える重要な社会インフラである。しかし、物流分野では人手不足や労働生産性の低さ、働き方改革を含む2024年問題等への対応が急務であり、道路インフラ側からの支援が求められる。したがって、賢く安全で持続可能な社会構築の観点から物流危機への対応が課題である。
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(2)最も重要と考える課題と解決策
1)最も重要と考える課題とその理由
上記課題のうち最も重要と考える課題は「3」である。なぜなら、人口減少下の我が国において持続可能な経済成長と国民生活を支える為には、次世代の世界水準基盤ネットワーク(WISENET)構築による物流支援が最重要課題だからである。
2)解決策
①円滑な道路ネットワークの構築
円滑な道路ネットワークの構築が解決策の一つである。なぜなら、全国に立地する世界シェア企業からは多くの製品が輸送され、新鮮な農水産品は地方から大量消費地である都市部に運ばれる等、経済活動・国民生活には円滑な道路ネットワークが不可欠だからである。具体的には、高規格道路と直轄国道のダブルネットワーク、都市部周辺の環状道路整備、空港・港湾周辺のアクセスネットワークの充実、輸送能力向上に資するダブル連結トラックの走行環境整備等である。
②交通モード間の連携・拠点機能の強化
交通モード間の連携・拠点機能の強化が解決策の一つである。なぜなら、物流の省人化・生産性向上には航空、海上、鉄道輸送等との連携を強化し、最適なモーダルコンビネーションが求められる。具体的には、鉄道貨物駅とトラック結節点を直結する拠点施設、トレーラーヘッド・ドライバー交換に資する中継拠点、
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貨客混載が可能な集約型公共交通ターミナル等である。
③自動運転社会の実現
自動運転社会の実現が解決策の一つである。なぜなら、高速道路のIoT化により道路と車両が協調する自動運転の早期実現・社会実装で大幅な生産性向上が期待できるからである。具体的には、デジタルツイン技術を活用した高速道路の高度化、分合流部センサ・AI解析によるインフラ側からの運転支援、自動運転車用レーンの設定、合流・落下物・工事規制情報等のリアルタイム提供、次世代ITSの推進等である。
(3)新たに生じうるリスクと対策
1)新たに生じうるリスク
上記解決策を実行しても新たに生じうるリスクは「環境負荷」である。なぜなら、道路分野のCO2排出量は我が国全体の約16%を占め、2050年カーボンニュートラルに向けて低炭素で持続可能な道路の実現が求められるからである。
2)対策
上記リスクの対策は「低炭素な人流・物流への転換」である。具体的には、電気自動車・燃料電池自動車等の次世代モビリティの普及を後押しするため、SA・PAや道の駅等の充電ニーズの高い箇所を中心に急速充電器を増設、加えて、道路に埋め込まれたコイルからワイヤレス充電する走行中給電システムの研究開発等が効果的である。
※コメント
WISENET2050・政策集の資料に沿って記述されています。
○○の観点から、○○が課題である。の記述形式です。
スムーズで読みやすい論文でもあるため、危なげなくA評価がもらえたでしょう。