技術士第二次試験 建設部門 道路科目 を受験する受験生を応援するために過去問のポイントを見ていきます。
問題文
A市では、バイパス整備が完了し市内の交通状況に変化が生じていることから、中心部の4車線の幹線道路について、歩行者と自転車の輻輳による危険性や様々な地域課題の解決に向け、道路空間の再配分を検討することとなった。この検討業務を担当する責任者として、下記の内容について記述せよ。
(1)事前に調査する事項
(2)業務を進める手順
(3)業務を実施する際の工夫や留意事項
問題文把握
まずはしっかり問題文を読み込み、何を何個解答しなくてはいけないのかを把握しましょう。
今回の場合は問題文に沿って解答するだけですので
①事前に調査する事項
②業務を進める手順
③工夫や留意事項
の3つの項目に分類されるかと思います。
記述内容の中心は「道路空間の再配分」になり、「中心部の4車線の幹線道路」「歩行者と自転車の輻輳(フクソウ)による危険性」「様々な地域課題の解決」を意識して解答すると高得点が狙えます。
上記を無視した解答は仮に内容が優れていても、減点されると思いますのでご注意を。
論文構成としては
1.事前に調査する事項
(1)〇〇
(2)〇〇
(3)・・・(個数指定なし)
2.業務を進める手順
(1)〇〇
(2)〇〇
(3)・・・(個数指定なし)
3.工夫や留意事項
(1)〇〇
(2)〇〇
(3)・・・(個数指定なし)
のような構成が一般的となります。
アンダーラインの有無や1.や(1)ではなく①や(a)のような表記で仕分けしても問題ありません。
記述例
記述内容の例を簡単に記載しますと
(あくまでも例であって合格論文ではありませんのでご注意を。論文イメージ程度だと思ってください)
1.事前に調査する事項
(1)道路状況
横断構成(道路幅員)、構造物、公共交通施設、バリアフリーに関する施設、道路占有物・埋設物など
(2)交通状況
交通量、渋滞状況、駐停車車両、交通規制、交通事故発生状況、通学路の指定、公共交通など
(3)沿道状況
主な沿道施設、駐車場、駐輪場、緑化状況など
(4)その他
住民意見(アンケート)、イベント等による利用状況など
2.業務を進める手順
(1)交通容量の解析
現道を2車線に縮小した場合、交通量が処理できるか解析する。
(2)交通量、混雑度を推計
将来交通量・混雑度を推計し、最大容量を推測する。
(3)道路幅員の検討
現道を2車線に縮小した場合の渋滞を予測、解析し、最小渋滞長となる道路幅員を検討する。
(4)その他の検討
景観保護のための無電柱化の検討や緑化による沿道環境保護についても検討する。
(5)新しい道路空間の決定
歩行者、自転車、自動車を分離させ、安全性を向上できる道路空間を決定する。
3.工夫や留意事項
(1)駐車場、駐輪場の整備
道路空間を再配分し、車道を4車線から2車線に減少させると、一時駐車車両や荷捌き車両が通行車両の障害となる可能性がある。また、歩道幅員が拡大しても違法駐車自転車があると歩行者・自転車空間の分離ができなくなる。
対策としては、道路外に駐車場、駐輪場を整備し、道路内での駐停車をなくさせる。また、短時間なら無料で駐車できるサービスも実施するとさらに効果的である。
(2)自転車専用通行帯
道路空間を再配分し、自転車専用通行帯を設けても、そこが自転車専用とわからない人がいると無意味なものとなる。
対策としては、路面標示として自転車マークや文字で自転車専用であることをはっきりと明示する。また、カラー舗装をすることで走行位置をわかりやすくすることも検討する。さらに、自転車の走行方向を一方通行とすることで安全性向上も期待できる。
(文字数オーバーにならないよう適当に個数や文字数を調整する必要があります)
まとめ
一番大事なことは問題文をしっかり読み込み、聞かれていることをしっかり把握することです。問題の題意からズレてしまっては、どんなに立派な知識を論じても点数につながりません。問題文を理解するのに時間を費やすことも必要です。また、指定文字数を超えると「失格」になりますので、それだけは絶対に避けてください。
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