技術士第二次試験 建設部門 道路科目 を受験する受験生を応援するために過去問のポイントを見ていきます。
問題文
地下水位の高い都市部において、土被り10m程度の地下式の道路が計画されており、事業実施に際し、地下水の流動阻害による影響が懸念されている。この事業を設計段階において担当する責任者として、当該影響に関して、下記の内容について記述せよ。
(1)地下水の流動阻害により、上流側及び下流側で想定される周辺への影響
(2)(1)の影響を踏まえ、事前に調査すべき事項
(3)対策を検討する手順と、その際の留意事項
問題文把握
まずはしっかり問題文を読み込み、何を何個解答しなくてはいけないのかを把握しましょう。
今回の場合は問題文に沿って解答するだけですので
①周辺への影響(上流側、下流側の2つ)
②事前に調査すべき事項
③手順と留意事項
の3つの項目に分類されるかと思います。
キーワードとして「地下水位の高い都市部」「土被り10m程度」が挙げられると思いますので、これらを意識するとさらによい答案が記述できるでしょう。
上記を無視した解答は仮に内容が優れていても減点対象になるかと思います。
論文構成としては
1.周辺への影響
(1)上流側
〇〇〇
(2)下流側
〇〇〇
2.事前に調査すべき事項
(1)〇〇
(2)〇〇
(3)・・・(個数指定なし)
3.対策検討手順と留意事項
(1)手順
〇〇〇
(2)留意事項
〇〇〇
のような構成が一般的となります。
アンダーラインの有無や1.や(1)ではなく①や(a)のような表記で仕分けしても問題ありません。
記述例
記述内容の例を簡単に記載しますと
(※あくまでも例(イメージ)であって100%正しいわけではありません。詳細はご自身で確認お願いします)
1.周辺への影響
(1)上流側
・地下水位が上昇する。
・地盤の湿潤化,樹木の根腐れ,液状化危険度増大,既存地下構造物の浮力増加・漏水増加などの影響が想定される。
(2)下流側
・地下水位が低下する。
・地盤沈下, 井戸枯れ, 湧水枯れ,樹木の立ち枯れなどの影響が想定される。
2.事前に調査すべき事項
(1)地下水の利用状況
・下流側の井戸枯れによる影響の有無。
(2)地盤環境
・上流側の液状化危険度の増大による影響の有無。
(3)既存構造物
・上流側構造物の浮き上がりや耐久性の低下による影響の有無。
(4)生態系
・上流側の樹木の根腐れによる影響の有無。
・下流側の樹木の立ち枯れによる影響の有無。
3.対策検討手順と留意事項
(1)手順
①調査
・事業計画
・概況把握
・地質・地下水状況の把握
・周辺環境へ及ぼす影響
・評価基準の設定
・無対策時の影響予測
・地下水対策の必要性
②設計
・地下水対策の選定
・地下水対策の効果予測
③施工・維持管理
・地下水位観測などによる計測管理を行いながら施工し、完成時には性能確認をする。
・施工後は、周辺地下水位の変動や、集水井戸、通水部の目詰まりなどをモニタリングし、必要なメンテナンスを施す。
(2)留意事項
各対策工法における現地盤及び水理条件が厳密には異なるため、対策工選定時、単純に比較することはできない。また、施工事例も少ないため、各対策工の評価を明確にすることができない。
(文字数オーバーにならないよう適当に文字数を調整する必要があります)
まとめ
一番大事なことは問題文をしっかり読み込み、聞かれていることをしっかり把握することです。問題の題意からズレてしまっては、どんなに立派な知識を論じても点数につながりません。問題文を理解するのに時間を費やすことも必要です。また、指定文字数を超えると「失格」になりますので、それだけは絶対に避けてください。
※「スマート技術員」で論文等添削もしております。興味のある方は検索してみてください。