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【平成28年度 技術士第二次試験問題 建設部門 道路科目 Ⅱ-2-1】について考える【模範解答イメージあり】

技術士第二次試験 建設部門 道路科目 を受験する受験生を応援するために過去問のポイントを見ていきます。

 

 

問題文

 

 A市では、市街地において自転車の利用ニーズが高まっていることから、安全で快適な自転車通行空間の効果的な整備を推進するため、自転車ネットワーク計画を作成することとなった。この業務を担当する責任者として、下記の内容について記述せよ。

(1)事前に把握・調査すべき事項

(2)自転車ネットワーク計画を作成する手順

(3)既存道路において、自転車通行空間の整備形態を選定する際に留意すべき事項

 

問題文把握

 

まずはしっかり問題文を読み込み、何を何個解答しなくてはいけないのかを把握しましょう。

今回の場合は問題文に沿って解答するだけですので

①事前に把握・調査すべき事項

②作成手順

③留意すべき事項

の3つの項目に分類されるかと思います。

記述内容の中心は「自転車ネットワーク計画」となり、「市街地」「既存道路」を意識して解答すると高得点が狙えます。

上記を無視した解答は仮に内容が優れていても、減点されると思いますのでご注意を。

 

論文構成としては

 

1.事前に把握・調査すべき事項

(1)〇〇

(2)〇〇

(3)・・・(個数指定なし)

2.作成手順

(1)〇〇

(2)〇〇

(3)・・・

3.留意すべき事項

(1)〇〇

(2)〇〇

(3)・・・(個数指定なし)

 

のような構成が一般的となります。

アンダーラインの有無や1.や(1)ではなく①や(a)のような表記で仕分けしても問題ありません。 

 

 

記述例

 

記述内容の例を簡単に記載しますと

(あくまでも例であって合格論文ではありませんのでご注意を。論文イメージです)

(知識向上のため、より多くの情報を記述しています)

 

1.事前に把握・調査すべき事項

(1)自転車歩行者利用状況

・交通量

・事故件数

・放置自転車

・駐輪場

(2)公共施設、商業施設、学校施設等の状況

(3)道路幅員構成

(4)地域の上位計画及び関連計画

2.作成手順

(1)基本方針、計画目標等の設定、計画策定方法の検討

 自転車利用の状況を把握し、その課題を整理するとともに、地域の上位計画及び関連計画、まちづくりの観点を考慮の上、自転車ネットワーク計画の基本方針、計画目標を設定するとともに、基本方針、計画目標に応じて自転車ネットワーク計画全体の検討対象エリアと構成する自転車ネットワーク路線候補を設定するものとする。

 また、計画策定方法として、地域全体での一括的な計画策定、もしくは一定の地域内のエリアや自転車利用目的に応じて基幹となるルートを中心とした自転車ネットワーク等を対象とした段階的な計画策定のいずれかの計画策定方法を選択するものとする。

 なお、地域全体での一括的な計画策定、段階的な計画策定方法ともに、自転車ネットワーク計画策定着手時における全体の計画対象エリアは大まかな設定でもよいが、段階的な計画策定の場合は、将来、継続的に計画を拡張していくという姿勢を示すことが重要である。

(2)自転車ネットワーク路線の選定

 自転車ネットワーク計画の基本方針や計画目標に応じて、自転車通行空間を効果的、効率的に整備することを目的に、自転車ネットワーク路線候補の中から面的な自転車ネットワーク路線を選定するものとする。

(3)整備形態の選定

 自転車ネットワーク路線毎に交通状況等を踏まえて適切な区間設定を行い、自転車道、自転車専用通行帯等の自転車通行空間の整備形態を選定するものとする。

 整備形態は、後述する自動車の速度と交通量を勘案して選定した完成形態を基本とする。

 完成形態での整備が当面困難であり、かつ現に車道を通行する自転車利用者や、今後、車道通行に転換する可能性のある自転車利用者の安全性を速やかに向上させなければならない場合には、車道通行を基本とした暫定形態とし、その整備により、早期に自転車通行空間の安全性の向上を図るものとする。

(4)自転車ネットワーク計画の決定

 上記(1)~(3)について、コミュニケーション・合意形成を図った上で、完成形態としての自転車ネットワーク計画、並びに自転車ネットワークの一部に暫定形態を適用する場合には、暫定形態の適用区間を示した自転車ネットワーク計画を決定するものとする。また、緊急度に応じた整備優先度や分かりやすい案内方法についても検討するものとする。

(5)整備スケジュールの検討、整備の実施

 自転車ネットワーク計画として策定した整備形態(完成形態・暫定形態)に関する詳細な検討、設計を行うとともに、整備スケジュールの検討を行い、自転車通行空間の整備を実施する。

(6)整備区間のモニタリング

 整備済みの路線・区間について、自転車通行空間の利用率や事故削減効果等について、モニタリング項目と計測手法等を検討し、継続的にモニタリングを行うものとする。

(7)計画の評価、見直し

 自転車ネットワーク計画の整備状況を踏まえて、計画全体の評価を行うとともに、道路や交通状況の変化を踏まえた課題を抽出し、必要に応じて、その評価結果を計画へフィードバックさせ、自転車ネットワーク計画の見直しや、整備形態の見直しを行うものとする。

3.留意すべき事項

(1)交通状況を踏まえた整備形態の選定

 「車道を通行する自転車」の安全性の向上の観点から、自動車の速度や交通量を踏まえ、自転車と自動車を分離する必要性について検討する。

(2)整備の可能性の検討

 道路空間の再配分や道路拡幅の可能性の検討により、選定した完成形態の整備が可能か検討する。

(3)暫定形態の検討

 道路空間再配分等を行っても本来整備すべき完成形態での自転車通行空間整備が当面困難な場合、かつ車道通行している自転車利用者、今後、車道通行に転換する可能性のある自転車利用者の安全性を速やかに向上させなければならない場合には、車道通行を基本とした暫定形態を検討する。

(4)代替路の検討

 主要幹線道路等において、暫定形態の採用が困難な場合には、自転車ネットワーク路線の選定に立ち返って、補助幹線道路や河川管理用通路等の活用を含め、代替路の可能性を検討するものとする。その際、関係道路管理者や都道府県警察等による協議会等を活用し、並行する道路間の調整を行うものとする。

(5)個別路線の詳細な構造等の検討

 自転車ネットワーク計画の合意形成を進める上で必要と判断される場合には、個別路線や区間の詳細な構造(分離工作物の配置及び形状、路面色等)や交通運用(自動車の規制速度の抑制、自転車通行方法等)に関する検討を実施するものとする。

 なお、自転車ネットワーク計画段階では、全ての路線について詳細な構造等の検討は実施せず、整備予定時期等を考慮して、優先的計画策定エリア内の自転車ネットワーク路線等に限定して検討することでよいものとする。

 

(文字数オーバーにならないよう適当に個数や文字数を調整する必要があります) 

 

まとめ

 

一番大事なことは問題文をしっかり読み込み、聞かれていることをしっかり把握することです。問題の題意からズレてしまっては、どんなに立派な知識を論じても点数につながりません。問題文を理解するのに時間を費やすことも必要です。また、指定文字数を超えると「失格」になりますので、それだけは絶対に避けてください。

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