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【平成28年度 技術士第二次試験問題 建設部門 道路科目 Ⅲ-1】について考える【模範解答イメージあり】

技術士第二次試験 建設部門 道路科目 を受験する受験生を応援するために過去問のポイントを見ていきます。

 

 

問題文

 

 我が国における道路構造物の老朽化が深刻な状況となっており、道路構造物を適切に維持・修繕するための取組が進められている。道路管理に携わる技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)道路構造物を適切に維持・修繕するためのメンテナンスサイクルの考え方を述べよ。

(2)メンテナンスサイクルによる維持・修繕を進める上で発生している課題について述べよ。

(3)(2)の課題を解決し、老朽化対策の実効性を高めるための方策について述べよ。 

 

問題文把握

 

まずはしっかり問題文を読み込み、何を何個解答しなくてはいけないのかを把握しましょう。

今回の場合は問題文に沿って解答するだけですので

①メンテナンスサイクル考え方

②課題(個数指定なし)

③方策(解決策)

の3つの項目に分類されるかと思います。

キーワードは特にないかと思いますが、「道路構造物のメンテナンスサイクル」の知識がないと解答は困難です。

上記を無視した解答は仮に内容が優れていても減点対象になるかと思います。

 

論文構成としては

 

1.メンテナンスサイクル考え方

〇〇〇

2.課題

(1)〇〇

〇〇〇

(2)△△

△△△

(3)□□

・・・(個数指定なし)

3.実効性を高めるための方策

(1)〇〇

 〇〇〇

(2)△△

 △△△

(3)□□

・・・(2.課題の個数に合わせる)

 

のような構成が一般的となります。

アンダーラインの有無や1.や(1)ではなく①や(a)のような表記で仕分けしても問題ありません。 

 

 

記述例

 

記述内容の例を簡単に記載しますと

(合格論文ではなく論文イメージなのでご注意願います)

(知識向上のため、多く情報を記載しています)

 

1.メンテナンスサイクル考え方

 道路構造物については、個々の道路環境(自然特性、道路利用状況、構造特性等)を踏まえて、道路管理者が定期的に点検・診断を行い、安全性及び維持管理の効率性の確保を目的とする予防的な保全による維持管理を基本とすべきである。このような維持管理により、最小のライフサイクルコストで安全・安心やその他の必要なサービス水準を確保することが、道路管理者による維持管理の目標である。その実現のためには、点検→診断→措置→記録→(次の点検)という維持管理の業務サイクルの構築が不可欠であり、このサイクルを通して、施設に求められる適切な性能をより長期間保持するための長寿命化計画等を作成・充実し、構造物の維持管理を効率的、効果的に進めていく業務サイクルをメンテナンスサイクルという。

(1)メンテナンスサイクルを確定

各道路管理者の責任で以下のメンテナンスサイクルを実施する。

①点検

・橋梁・トンネル等は、国が定める統一的な基準により、5年に1度、近接目視による全数監視を実施

・舗装、照明柱等は適切な更新年数を設定し点検・更新を実施

②診断

・統一的な尺度で健全度の判定区分を設定し、診断を実施

・Ⅰ~Ⅳの4つに区分

③措置

・点検・診断の結果に基づき計画的に修繕を実施し、必要な修繕ができない場合は、通行規制・通行止め

・利用状況を踏まえ、橋梁等を集約化・撤去

・適切な措置を講じない地方公共団体には国が勧告・指示

・重大事故等の原因究明、再発防止策を検討する「道路インフラ安全委員会」を設置

④記録

・点検・診断・措置の結果をとりまとめ、評価・公表(見える化

(2)メンテナンスサイクルを回す仕組みを構築

 メンテナンスサイクルを持続的に回す以下の仕組みを構築する。

①予算

・(高速)高速道路更新事業の財源確保

・(国)点検、修繕予算は最優先で確保

・(地方)複数年にわたり集中的に実施する大規模修繕・更新に対して支援する補助制度

②体制

都道府県ごとに「道路メンテナンス会議」を設置

・メンテナンス業務の地域一括発注や複数年契約を実施

・社会的に影響の大きな路線の施設等について、国の職員等から構成される「道路メンテナンス技術集団」による「直轄診断」を実施

・重要性、緊急性の高い橋梁等は、必要に応じて、国や高速会社等が点検や修繕等を代行(跨道橋等)

地方公共団体の職員・民間企業の社員も対象とした研修の充実

③技術

・点検業務・修繕工事の適正な積算基準を設定

・点検・診断の知識・技能・実務経験を有する技術者確保のための資格制度

産学官によるメンテナンス技術の戦略的な技術開発を推進

④国民の理解・協働

・老朽化の現状や対策について、国民の理解と協働の取組みを推進

2.課題

(1)予算不足

地方自治体において、予算不足で計画通りに点検・診断、補修・修繕を続けるのが困難

(2)技術力不足

・点検・診断が十分にできているか質の面で不安

・補修・修繕を適切に行うことのできる自治体技術職員や建設業、コンサルタント等の担い手の育成が急務

(その他候補として)

・インフラ整備(点検、補修・修繕)の優先順位の付け方が不明確

・点検結果をデータベース化できない

・地域住民との連携を実施していない(連携を推進する取組まで手が回らない、連携手法がわからない)

3.実効性を高めるための方策

(1)国などによる補助

・点検に対する交付金交付税、地方債による措置、拡充

地方公共団体の維持管理に対する集中的な財政支援

(2)技術協力

・技術者(アドバイザー)派遣、民間企業等で活躍する維持管理に精通した技術者を活用

・総点検後の情報共有、高度な診断等、国、都道府県による技術支援体制の確立

(その他候補として)

リスクアセスメントの活用

・先進的な優れた事例を水平展開するような情報共有システムの確立

・国は都道府県と連携しながら、さらに市区町村に対する支援

 

(文字数オーバーにならないよう適当に個数、文字数を調整する必要があります)

 

 

まとめ

 

一番大事なことは問題文をしっかり読み込み、聞かれていることをしっかり把握することです。問題の題意からズレてしまっては、どんなに立派な知識を論じても点数につながりません。問題文を理解するのに時間を費やすことも必要です。また、指定文字数を超えると「失格」になりますので、それだけは絶対に避けてください。

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