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【平成31年度 技術士第二次試験問題 建設部門 必須科目】について考えるため、【平成24年度 建設部門 必須科目 Ⅱ-2】の問題を振り返る【模範解答イメージあり】

平成31年度試験から必須科目が「択一式」から「記述式」に変わります。

そのため平成19年度~24年度の過去問で訓練することからスタートします。

(詳細は「【平成31年度 技術士第二次試験問題 建設部門 必須科目】について考える」で記載しています)

smartgijutuin.hatenablog.com

 この期間の過去問の傾向をつかみ、平成31年度試験に対応する力を養いましょう。

今回は平成24年度 建設部門 必須科目 Ⅱ-2の問題を考えてみます。

 

 

問題文

 

 地球環境問題への対応として、(1)低炭素社会の実現、(2)自然共生社会の実現・生物多様性保全、(3)循環型社会の形成が求められている。我が国の最近の社会情勢の変化も踏まえ、地球環境問題に対し、建設分野として取り組むべき課題を上記3つの視点からそれぞれ挙げ、その内容を説明せよ。また、前記のそれぞれの課題に対して、解決に向けたあなたの意見を述べよ。

 

問題文把握

 

まずはしっかり問題文を読み込み、何を何個解答しなくてはいけないのかを把握しましょう。

今回の場合は問題文に沿って解答するだけですので

①課題 3つ(3つの視点それぞれ)

②具体的解決策 3つ(課題と同じ個数)

の2つの項目に分類されます。

課題を記述するためには、その「背景や現状」を記述しないと話が飛躍してしまいます。

そのため、実際には課題の前に背景や現状を記述しなくてはなりません。

と言うのはあくまでも過去問の話であり、実際の平成31年度問題の予想形式は

 

(予想形式)

地球環境問題への対応として、①低炭素社会の実現、②自然共生社会の実現・生物多様性保全、③循環型社会の形成が求められている。建設部門に携わる技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)〇〇〇(建設部門全般に関する基礎知識確認)

(2)我が国の最近の社会情勢の変化も踏まえ、地球環境問題に対し、建設分野として取り組むべき課題を上記3つの視点からそれぞれ挙げ、その内容を説明せよ。

(3)(2)の課題に対し、具体的な方策を述べるとともに、それらを進める上での留意点を述べよ。

 

のような形式になるかと思います。

(我が国の最近の社会情勢の変化も踏まえという表現は平成24年度の場合であり、今は平成29年に一部改定があった「環境行動計画(国土交通省)」を前提に答える問題になるかと思います)

 

要約すると

地球環境問題対策の基礎知識、課題、解決策、留意点を記述する流れです。

※ここでいう「課題」、「解決策」とは【問題解決能力】を確認するものであり、「問題を分析する能力」と「それを解決に導く方向性」を表します。また、「留意点」とは【課題遂行能力】を確認するものであり、課題に対する「問題・原因抽出」と「その具体的な解決策」を表します。これを理解しないと合格論文が記述できません。

 

上記のような問題形式と仮定した場合、論文構成としては

 

1.〇〇〇

〇〇(知識確認)

2.課題

(1)〇〇

〇〇〇

(2)△△

△△△

(3)□□

□□□

3.方策

(1)〇〇

 〇〇〇

 留意点として・・・

(2)△△

 △△△

 留意点として・・・

(3)□□

□□□

 留意点として・・・

 

のような構成が一般的となります。

アンダーラインの有無や1.や(1)ではなく①や(a)のような表記で仕分けしても問題ありません。

 

記述例

簡単に記述例を記載します。

(合格論文ではなく論文イメージなのでご注意願います)

 

1.〇〇〇

(専門知識に関する問題が出題されると思いますが、どんな問題が出るか前例がないためわかりません。地球環境問題の知識って何でしょうか(笑)

地球温暖化オゾン層破壊、酸性雨などの説明なのでしょうか。国土交通省では「IoT技術等を活用したグリーンスローモビリティ」の導入を検討していますが、その概要説明が出題されたりするのでしょうか。今の段階では予想が困難ですね・・・後日じっくり考え情報提供したいと思います。

 

2.課題

(1)低炭素社会の実現に関する課題

平成25 年9月のIPCC 第5次評価報告書によると・・・(現況を記述)

したがって、省エネ強化、再生可能エネルギーの徹底活用等により長期的な温室効果ガス排出量を大幅削減する「緩和策」と気候変動による様々な影響に対処する「適応策」の両輪に係る施策の充実を強化することが課題である。

(2)自然共生社会の実現・生物多様性保全に関する課題

今後の10~20 年間の行動によっては、世界的に生態系がある臨界点を超え生物多様性の劇的な損失とそれに伴う人々が生態系から得ることができる食料、水、気候の安定などの様々な便益である生態系サービスの劣化が生じる危険性が高いという危機がある。

したがって、生態系ネットワーク形成の更なる充実強化による生物多様性保全に取り組むことが課題である。

(3)循環型社会の形成に関する課題

東日本大震災以降の我が国のエネルギー需給構造の脆弱性の深化、世界全体での資源制約の強まりという危機を踏まえ、平成25 年の循環型社会形成推進基本計画においては、循環も廃棄物量の減量化に加え、今後は、官民連携により、廃棄物等のエネルギー利用源、貴重な資源として有効活用という、循環の質にも着目した取組が重要となってきている。

したがって、循環資源利用の推進・強化に取り組むことが課題である。

3.方策

(1)低炭素社会の実現に関する方策

住宅・建築物の省エネ化や次世代自動車の普及、燃費改善等、再生可能エネルギーの導入促進等の積極的な緩和策に取り組むとともに、気候変動の影響に対処するため平成27 年に策定された「気候変動適応計画」に基づく適応策の推進に取り組む。また、低炭素都市づくり推進にも取り組む。

留意点として、我が国におけるCO2総排出量の約5 割を占める運輸・民生部門が積極的に次世代自動車の普及、燃費改善等を実施してもらいたいが、コスト面が弊害になる可能性がある。そのため、税制・補助等のインセンティブ等による事業者への環境性能の優れた技術革新誘導を国が率先して行う必要がある。

【※留意点は国土交通白書などには記載されていない部分です。自分なりの考えをまとめ記述することになります。ですが、あまりにも独創的で実現不可能な提案はNGです。】

(2)自然共生社会の実現・生物多様性保全に関する方策

健全な水循環の確保等の推進、緑地の保全・緑化の推進、湿地の再生、海の再生等による自然環境の保全・再生・創出に係る施策、自然環境の機能を活用した施策について、更に、自治体、企業、NPO、地元住民等多様な主体との連携・協働の推進による生態系ネットワークの充実強化に取り組む。

留意点として、国民の環境意識の変化、モニタリング結果、先進的事例の普及状況等によって現状の施策継続が最善でない可能性がある。そのため、軌道修正に取り組むとともに、これらの取組に際しては、今ある良好な環境やそれを支えるインフラを維持、転換する観点や、良好な景観形成、観光振興等の地域活性化等にも配慮する必要がある。

(3)循環型社会の形成に関する方策

下水汚泥のエネルギー・資源化、建設リサイクル法の厳密な運用、リサイクルポート施策の推進等について、官民連携により、革新的低コスト・高効率バイオマス利用技術の開発・普及による下水道バイオマスのエネルギー・資源利用推進強化、建設混合廃棄物の削減、既存住宅流通やリフォームの促進、需給や物流のマッチングを通じた静脈物流システムを構築する。

留意点として、下水道バイオマス事業を挙げる。下水道バイオマス事業の広域化をはかりたいが、市町村間での調整・情報共有ができていないこと、都道府県によって、市町村事業への関与の意識が低く、人員不足といった要因も想定され、困難な状況である。そのため、都道府県による積極的な関与を求め、都道府県による指導による好事例の周知を図り、人員に余裕のない都道府県にも可能な関与方策を示す必要がある。

 

(文字数オーバーにならないよう適当に個数、文字数を調整する必要があります) 

 

まとめ

 

一番大事なことは問題文をしっかり読み込み、聞かれていることをしっかり把握することです。問題の題意からズレてしまっては、どんなに立派な知識を論じても点数につながりません。問題文を理解するのに時間を費やすことも必要です。また、指定文字数を超えると「失格」になりますので、それだけは絶対に避けてください。