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【平成31年度 技術士第二次試験問題 建設部門 必須科目】について考えるため、【平成23年度 建設部門 必須科目 Ⅱ-2】の問題を振り返る【模範解答イメージあり】

平成31年度試験から必須科目が「択一式」から「記述式」に変わります。

そのため平成19年度~24年度の過去問で訓練することからスタートします。

(詳細は「【平成31年度 技術士第二次試験問題 建設部門 必須科目】について考える」で記載しています)

smartgijutuin.hatenablog.com

 この期間の過去問の傾向をつかみ、平成31年度試験に対応する力を養いましょう。

今回は平成23年度 建設部門 必須科目 Ⅱ-2の問題を考えてみます。

 

 

問題文

 

 建設産業は、住宅・社会資本の整備だけでなく、その維持・管理や災害対応など多面的な役割を果たすことが期待されているが、近年、建設投資が急激に減少していること、就業者の減少及び高齢化が進行していることなどから産業全体としてかつてないほど厳しい状況に直面している。

 このような状況下、建設産業の課題を3つ挙げ、その内容を説明せよ。

 また、建設産業の活力を回復させるため、これらの課題に対してどのように取り組むべきか、あなたの意見を述べよ。

 

問題文把握

 

まずはしっかり問題文を読み込み、何を何個解答しなくてはいけないのかを把握しましょう。

今回の場合は問題文に沿って解答するだけですので

①課題 3つ

②解決策 3つ(課題と同じ個数)

の2つの項目に分類されます。

課題を記述するためには、その「背景や現状」を記述しないと話が飛躍してしまいます。

そのため、実際には課題の前に背景や現状を記述しなくてはなりません。

と言うのはあくまでも過去問の話であり、実際の平成31年度問題の予想形式は

 

(予想形式)

建設産業は、住宅・社会資本の整備だけでなく、その維持・管理や災害対応など多面的な役割を果たすことが期待されているが、近年、建設投資が急激に減少していること、就業者の減少及び高齢化が進行していることなどから産業全体としてかつてないほど厳しい状況に直面している。このような現状を踏まえ、建設部門に携わる技術者として、以下の問いに答えよ。

(1)〇〇〇(建設部門全般に関する基礎知識確認)

(2)このような現状を踏まえ、今後の建設産業における課題を多面的に述べよ。

(3)(2)の課題に対し、建設産業の活力を回復させるための具体的な方策を述べるとともに、それらを進める上での留意点を述べよ。

 

のような形式になるかと思います。

(建設投資減少、就業者の減少及び高齢化における建設産業活性化に関する問題になるかと思います。当時と今では解決方法が異なりそうです。今回は現代だとこういう方法で解決するという視点で考えることにします。)

 

要約すると

建設投資減少、就業者の減少及び高齢化における建設産業活性化の基礎知識、課題、解決策、留意点を記述する流れです。

※ここでいう「課題」、「解決策」とは【問題解決能力】を確認するものであり、「問題を分析する能力」と「それを解決に導く方向性」を表します。また、「留意点」とは【課題遂行能力】を確認するものであり、課題に対する「問題・原因抽出」と「その具体的な解決策」を表します。これを理解しないと合格論文が記述できません。

 

上記のような問題形式と仮定した場合、論文構成としては

 

1.〇〇〇

〇〇(知識確認)

2.課題

(1)〇〇

〇〇〇

(2)△△

△△△

(3)□□

□□□

3.方策

(1)〇〇

 〇〇〇

 留意点として・・・

(2)△△

 △△△

 留意点として・・・

(3)□□

□□□

 留意点として・・・

 

のような構成が一般的となります。

アンダーラインの有無や1.や(1)ではなく①や(a)のような表記で仕分けしても問題ありません。 

 

記述例

 

簡単に記述例を記載します。

(合格論文ではなく論文イメージです。詳細を省略し概要だけ述べます)

 

1.〇〇〇

(専門知識に関する問題が出題されると思いますが、どんな問題が出るか前例がないためわかりません。

国土交通白書からの基礎知識なのか・・・わからないですね。

就業者の減少及び高齢化から省人化・省力化に結び付けてi-Constructionの3つのトップランナー施策の概要説明などでしょうか。予想するのは難しいですね・・・。時間があるときに改めてじっくり考えます。

 

2.課題

(1)担い手不足

我が国は人口減少・少子高齢化で労働者人口そのものが減少している。特に建設産業は超過勤務が多く、休日確保が困難であり、低賃金で人気がない業界の1つである。また、就業者不足から会社経営状態も悪化し、労働条件を改善できない状況である。

したがって、時短や休日確保、賃金アップで担い手不足を解消することが課題である。

(2)確実な技術継承

建設産業は熟練技術者の技術を次の世代に継承する人材育成が重要である。しかし、このような技術の大半は暗黙知であり、コミュニケーション不足などが深刻化している現状では、熟練技術者の技術が若手技術者になかなか伝わらない。 

したがって、熟練技術を確実に継承していくことが課題である。

(3)生産性向上

建設産業は人手不足で生産性が低下している。特に建設工事の土工やコンクリート工などは人間の労働力業務割合が多い労働集約型生産であり、人手不足の影響を大きく受けている。

したがって、労働集約型生産から脱却して生産性向上をはかることが課題である。

3.方策

(1)機械化推進

時短や休日確保、賃金アップのため機械化を推進し生産性向上をはかる。

留意点として、機械化を推進したくても中小企業では資金面で困難な企業もある。ICT関連の機械購入に対する国などからの補助金制度などの検討も必要である。 

【※留意点は国土交通白書などには記載されていない部分です。自分なりの考えをまとめ記述することになります。ですが、あまりにも独創的で実現不可能な提案はNGです。】 

(2)形式知

暗黙知形式知としてデータベース化するとともに、ナレッジマネジメント(体系的教育)を実施する。

留意点として、ナレッジマネジメントのノウハウを持っている企業はごく少数である。建設産業担い手確保・育成コンソーシアムなどを参考に、建設産業団体、関係行政機関、職業訓練校、教育機関等の関係機関が一体となって、建設産業における担い手確保・育成に取り組んでいくための体制を整備するとともに、若年者の入職促進、育成のための事業を具体化し、実行することが必要である。

(3)資本集約型生産への転換

ICTを活用するなど資本集約型生産へ転換する。

留意点として、行政主導では技術開発や導入が思うように進まない。i-Construction推進コンソーシアムなどを参考に、様々な分野の産学官が連携して、IoT・人工知能(AI)などの革新的な技術の現場導入や、3次元データの活用などを進めることで、生産性が高く魅力的な新しい建設現場を創出することが必要である。

(余談ですが、最近は建設産業を「知識集約型」産業に転換する考えもあるようです。さらにレベルアップを望む受験生はこのキーワードを理解しておくことをお勧めします。)

 

(文字数オーバーにならないよう適当に個数、文字数を調整する必要があります) 

 

まとめ

 

一番大事なことは問題文をしっかり読み込み、聞かれていることをしっかり把握することです。問題の題意からズレてしまっては、どんなに立派な知識を論じても点数につながりません。問題文を理解するのに時間を費やすことも必要です。また、指定文字数を超えると「失格」になりますので、それだけは絶対に避けてください。