スマート技術員(技術士第二次試験受験者を応援)

建設部門(道路科目)を中心に情報提供しています。試験本番まで時間が少ないため通常より安く添削指導しています

【建設キャリアアップシステム】とは?

技術士第二次試験 覚えて(理解して)おきたいキーワードとして、今回は「建設キャリアアップシステム」について記述します。

内容をきちんと理解することにより、どんな問題にも対応できるかと思います。ずばりキーワードを答える問題もそうですが、何らかの問題点や課題、解決策の1つとして記述することもできるようになります。

暗記をするのではなく、理解してこそ論文に活かせるようになります。

(下記情報の基本は国土交通省などのネット情報などを集約したものです)

 

  

導入背景

 

建設業が将来にわたって、その重要な役割を果たしていくためには、現場を担う技能労働者(技能者)の高齢化や若者の減少といった構造的な課題への対応を一層推進し、建設業を支える優秀な担い手を確保・育成していく必要がある。そのためには、個々の技能者が、その有する技能と経験に応じた適正な評価や処遇を受けられる環境を整備することが不可欠である。しかし、建設業に従事する技能者は、他の産業従事者と異なり、様々な事業者の現場で経験を積んでいくため、個々の技能者の能力が統一的に評価されにくく、現場管理や後進の指導など、一定の経験を積んだ技能者が果たしている役割や能力が処遇に反映されにくい環境にある。

 

こうしたことから、技能者の現場における就業履歴や保有資格などを、技能者に配布するICカードを通じ、業界統一のルールでシステムに蓄積することにより、技能者の処遇の改善や技能の研鑽を図ることを目指す「建設キャリアアップシステム」の構築に向け、官民一体で取り組み、平成31年4月、建設キャリアアップシステムの本格運用が始まった。(具体的には、建設技能者の能力評価の実施に必要な事項を定めた建設技能者の能力評価に関する告示(平成31年国土交通省告示第460号)を始め、建設技能者の能力評価制度の適正かつ円滑な実施を図るため、建設技能者の能力評価制度に関するガイドラインを策定した)

 

この文章から読み取れる「建設キャリアアップシステム」とは?

技能労働者の高齢化や若者の減少という現代の問題点を解決する方法の1つになる

 

建設業を支える優秀な担い手を確保・育成する手段の1つになる

 

・建設業の役割や能力が処遇に反映されにくい環境を解決する方法の1つになる

 

・ICカードを使い就業履歴や保有資格などをシステムに蓄積するものである

 

という程度理解すればよいかと思います。

 

趣旨・目的

 

建設キャリアアップシステムに登録・蓄積される情報を活用して、建設技能者の技能について客観的な評価を行うことにより、

 

・評価結果を活用して、取引先や顧客に対して技能水準を対外的にPRすることで、価格交渉力の強化を図り、技能に見合った評価や処遇を実現

 

・キャリアアップに必要な経験や技能を職種毎に明らかにすることで、建設技能者のキャリアパスの明確化を図り、若年層の入職を拡大し、定着を促進

 

・建設技能者を雇用する専門工事企業の評価と連動させることにより、高い技能を有する建設技能者を育て、雇用する企業が選ばれる環境を整備し、建設業界における人材育成と処遇改善の好循環を創成

 

・技能や経験に裏打ちされた建設技能者の地位の向上を図り、建設業全体のイメージアップを図る

 

ことを目的とする。

 

概要

 

システムの利用に当たり、技能者は、本人情報(住所、氏名等)、社会保険加入状況、建退共手帳の有無、保有資格、研修受講履歴などを登録する。事業者は、商号、所在地、建設業許可情報を登録する。登録により、技能者には、ICカード(キャリアアップカード)が配布される。現場を開設した元請事業者は、現場情報(現場名、工事内容等)をシステムに登録し、技能者は現場入場の際、現場に設置されたカードリーダー等でキャリアアップカードを読み取ることで、「誰が」「いつ」「どの現場で」「どのような作業に」従事したのかといった個々の技能者の就業履歴がシステムに蓄積される仕組みとなっている。

 

メリット

 

現場経験や保有資格が業界統一のルールでシステムに蓄積されることから、十分な経験を積み、技能の向上に努める技能者が適正に評価され、それを通じて処遇の改善につながる環境を整えられる。また、建設業退職金共済制度における証紙の貼付状況が確実かつ容易になるとともに、技能者・事業者がそれぞれ就業実績や資格取得などの状況を確認することを通して、更なる技能の研鑽や資格の取得につなげていくことが可能になる。さらに、建設業を一旦離れ再入職する際に、離職以前に習得した資格・研修や現場経験を客観的に証明できるといった活用が期待される。

 

技能者を雇用する専門工事業は、雇用する技能者の水準を客観的に把握できるとともに、その施工力をアピールすることが可能となる。人材の育成に努め、優秀な技能者を抱える専門工事業者は、これを発注者や元請企業にアピールすることにより、受注機会の拡大につなげていくことが期待できる。

 

現場を管理する元請企業は、システムを活用し、社会保険加入状況の確認など、現場管理の効率化、現場のコンプライアンスやトレーサビリティの確保を図ることが期待できる。また、優秀な人材を抱える専門工事業者の選定に活用できるほか、顧客に対して施行に携わる技能者のスキルをアピールするといった活用も可能となる。既に独自の就労履歴システムを運用している事業者においては、建設キャリアアップシステムとの連携により、システムの拡充や合理化を図ることも可能となる。

 

この文章から読み取れる「建設キャリアアップシステム」のメリットとは?

技能者本人、雇用する会社、元請会社それぞれにメリットがある

 

・技能者本人 → 処遇改善環境整備、建退共状況把握容易、技能研鑽や資格取得意欲向上、再入職経歴証明容易

 

・雇用する会社 → 施工力アピールで受注機会拡大

 

・元請会社 →現場管理効率化、現場コンプライアンスやトレーサビリティ確保、優秀な専門工事業者選定容易、スキルアピール

 

といったところでしょうか。

 

政策展開

 

システムに蓄積された個々の技能者の就業実績などを活用し、技能や職歴に応じた統一的な能力評価基準の策定等を検討。さらに、技能者の能力評価基準の策定を通じて、将来的には専門工事業者の評価にもつなげていく。

 

(能力評価基準のイメージ)

①経験(就業日数)

 

②知識・技能(保有資格)

 

③マネジメント能力(登録基幹技能者講習・職長経験)

 

上記を組み合わせ、4段階のレベル(レベル1~4)に評価

 

レベル1を初級技能者(見習いの技能者)、レベル2を中堅技能者(一人前の技能者)、レベル3を職長として現場に従事できる技能者、レベル4を高度なマネジメント能力を有する技能者(登録基幹技能者等)とする

 

レベルに応じて、ICカード(キャリアアップカード)を色分けすることで、技能者の技能や経験に応じた処遇の実現に向けた環境整備を行う

 

(専門工事業者の評価のイメージ)

技能者の能力評価基準と連動した専門工事企業の施工能力等の見える化を進める

 

①所属する技能者の人数・評価

 

②表彰・工事実績

 

③建機の保有状況

 

④安全性(無事故期間等)

 

⑤処遇・福利厚生(社会保険等への加入状況等)

 

⑥人材確保・育成(研修制度等)

 

⑦地域貢献(災害復旧、地域活動への貢献等)

 

⑧経営状況等

 

上記を参考に専門工事企業の施工能力等を評価し、良い職人を育て、雇用する専門工事企業が選ばれる環境を整備する

 

登録方法

 

(一財)建設業振興基金が運営

 

インターネット、郵送、窓口で申請

 

システムへの登録料として

 

・技能者 → インターネット申請の場合2,500円、郵送・窓口申請は3,500円、料金負担は、新規登録と10年ごとの更新時

 

・事業者 → 規模(資本金)に応じた登録料(5年更新)とシステム利用料を負担

 

一人親方 → 事業者としても登録しますが、登録料は無料

 

目標

 

運用開始後1年で約100万人、運用開始後5年を目途にすべての技能者の登録を目指す

 

その他

 

・優秀な技能者の引き抜きにつながるのではないか → 技能者本人と所属事業者の双方の同意がなければ、その技能者の情報は他の建設事業者からは閲覧できないような仕組みを基本としている

 

ICカードを紛失したら個人情報が流出してしまうの? →カードのICチップにはID番号が記録されているだけで、その他の情報は記録されていない

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。