平成31年度 技術士第二次試験 覚えて(理解して)おきたいキーワードとして、今回は「水防災意識社会」について記述します。(建設部門に偏ってしまい申し訳ありません)
内容をきちんと理解することにより、どんな問題にも対応できるかと思います。ずばりキーワードを答える問題もそうですが、何らかの問題点や課題、解決策の1つとして記述することもできるようになります。
暗記をするのではなく、理解してこそ論文に活かせるようになります。
(下記情報の基本は国土交通省などのネット情報などを集約したものです。ゆっくり検索する時間がない受験生のために、さっと読んで概要を理解できるようにまとめたものです。)
概要(今までの流れ)
・平成27年9月関東・東北豪雨災害では、鬼怒川において、甚大な被害が発生
・これを踏まえ、「大規模氾濫に対する減災のための治水対策のあり方について」が諮問され、平成27年12月10日「大規模氾濫に対する減災のための治水対策のあり方について~社会意識の変革による「水防災意識社会」の再構築に向けて~」が答申
・この答申を踏まえ、平成27年12月11日に「水防災意識社会 再構築ビジョン」を策定
・平成28年8月には、台風10号等の一連の台風によって、北海道・東北地方の中小河川等で氾濫が発生し、逃げ遅れによる多数の死者や甚大な経済被害が発生
・この災害を受け、平成29年6月19日に「大規模氾濫減災協議会」制度の創設をはじめとする「水防法等の一部を改正する法律」が施行
・上記水防法等の施行と合わせて、平成29年6月20日に「水防災意識社会」の再構築に向けた緊急行動計画を国土交通省としてとりまとめた
・平成30年7月豪雨では、広域的かつ同時多発的に河川の氾濫や土石流等の発生に加え、ライフラインや交通インフラ等の被災によって、甚大な社会経済被害が発生
・平成30年12月、「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり方について」の答申
・これらを踏まえ、平成31年1月29日、「水防災意識社会」の再構築に向けた緊急行動計画を改定
「水防災意識社会」の再構築に向けた緊急行動計画の改定とは
●概要
・平成30年7月豪雨をはじめ、近年各地で大水害が発生していることを受け、「施設では防ぎきれない大洪水は必ず発生するもの」へ意識を変革し、社会全体で洪水に備える「水防災意識社会」を再構築する取組をさらに充実し加速するため、2020年度目途に取り組むべき緊急行動計画を改定
・具体的には、人的被害のみならず経済被害を軽減させるための多くの主体の事前の備えと連携の強化、災害時に実際に行動する主体である住民の取組強化、洪水のみならず土砂・高潮・内水、さらにそれらの複合的な災害への対策強化等の観点により、緊急行動計画の取組を拡充
●詳細分類
(1)関係機関の連携体制
(2)円滑かつ迅速な避難のための取組
(3)被害軽減の取組
(4)氾濫水の排除、浸水被害軽減に関する取組
(5)防災施設の整備等
(6)減災・防災に関する国の支援
これまでの対策では対応できない問題(課題)
①危険な場所からの立ち退き避難(市町村や住民等の適切な判断や行動・市町村を超えた広域避難)
②水防体制の脆弱化
③住まい方や土地利用における水害リスクの認識の不足
④「洪水を河川内で安全に流す」施策だけで対応することの限界
問題(課題)に対するこれまでとの違い・ポイント
ポイント①:より実効性のある「住民目線のソフト対策」を前面に打ち出した
・住民等の行動につながるリスク情報の周知(住民のとるべき行動を分かりやすく示したハザードマップへの改良)
・水害対応タイムラインの作成、訓練の促進
・避難行動のきっかけとなる情報をリアルタイムで提供(スマートフォン等によるプッシュ型の洪水情報の配信)
・危機管理型水位計の設置
ポイント②:「洪水氾濫を未然に防ぐ対策」に加え、「危機管理型ハード対策」を導入
・洪水氾濫を未然に防ぐ対策
・危機管理型ハード対策(氾濫が発生した場合にも被害を軽減する対策)
堤防天端の保護、堤防裏法尻の補強など( → 粘り強い構造のことですね!)
ポイント③:河川管理者・都道府県・市町村等で協議会を設置し、 ハード・ソフト対策を一体的、計画的に推進する
※ポイント①と②は時間を掛けて、じっくり理解して損はないかと思います(試験問題の「留意点」で記述できそうな内容です)
まとめ
近年、「水害」が頻繁に発生しています。昨年の豪雨を話題に「水害対策」の試験問題は出る確率が高いでしょう。今までの対策の考え方では不十分であったため、被害が甚大化しています。今回の改訂により強化された事項を理解することで高評価論文が記述できるかと思います。受験生はしっかり理解しておくことをお勧めします。
(最後まで読んでいただきありがとうございます。)