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【A評価論文 令和3年度 建設部門 Ⅰ-2 その3】

筆記試験合格者【Nさま】からA評価論文をご提供していただきました。

受験生の方はぜひ参考にしてください。

 

 

1.激甚化する風水害の被害を防止するための課題

(1)国民の防災意識を高める

 気候変動の影響により、1時間に50mm以上の短時間強雨の発生回数は30年前と比べて1.4倍増加しており、土砂災害や洪水等の被害が毎年のように全国各地で発生している。このため、様々な関係機関が連携、協働して、防災・減災対策を講じていく必要がある。

 したがって、危機意識共有の観点から、国民の防災意識を高めていくことが課題である。

(2)AIやロボット技術等の活用

 人口が減少している中で、建設業を担う技術系職員も減少しているが、それに反比例して災害は激甚化・頻発化している。限られた人員で効率的に作業を行うためには、デジタル化を推進する必要がある。災害時にAI技術による浸水範囲の自動解析や身体的負担を軽減できるパワーアシストスーツの着用、ドローンの活用で被災状況を把握できるようになる。

 したがって、技術者不足の観点から、AIやロボット技術等を活用することが課題である。

(3)想定を上回る災害への対応

 我が国の国土は山地や丘陵地が多く、また河川も急勾配なため、近年の気候変動の影響もあり、土砂災害や洪水等の災害が発生しやすい状況である。また、今後もこれらの自然災害が頻繁に発生することが予測されているため、早期に対策を実施する必要がある。

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 したがって、制度面や技術面の観点から、想定を上回る災害に対応することが課題である。

2.解決策

 上記課題のうち最も重要と考える課題は、「(3)想定を上回る災害への対応」である。なぜなら、災害から人々の生命・財産を守り、安全な生活環境を整備する必要があるからである。以下にその解決策を示す。

(1)流域治水対策の実施

 想定を上回る災害へ対応するためには、流域治水対策を実施することが解決策の一つである。なぜなら、多様な主体と連携し、ハード・ソフトの両面から対策することで、効果を発揮するからである。

 具体的には、雨水貯留施設の設置、利水ダムの事前放流、ダム・遊水地の整備、堤防補強等である。

(2)強靭な道路ネットワークの構築

 想定を上回る災害へ対応するためには、強靭な道路ネットワークを構築することが解決策の一つである。なぜなら、災害時に救助活動や物資の輸送等を途切れさせてはいけないからである。

 具体的には、高規格道路のミッシングリンクの解消や4車線化の整備、高規格道と主要国道とのダブルネットワークによる機能強化対策等である。

(3)ライフラインとなるインフラの強化

 想定を上回る災害へ対応するためには、ライフラインとなるインフラを強化することが解決策の一つであ

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る。なぜなら、防災拠点となる道の駅等の施設が、被災者等を受け入れる必要があるからである。

 具体的には、下水道管路、下水処理場の耐震補強や地下鉄駅の電源施設の浸水対策等である。

3.解決策を実行しても新たに生じうるリスクと対策

 上記解決策を実行しても新たに生じうるリスクは、ノウハウ不足である。なぜなら、多様な主体が多く、新技術の活用等、情報を一元的に集約する必要があるからである。

 上記リスクの対策として、インフラメンテナンス国民会議を活用することである。なぜなら、多様な主体と連携でき、産学官民が持つAI技術による画像診断や衛星データを活用した自動運転技術等の新技術を利用でき、効果的に事業の進捗が図れるからである。

4.業務として遂行するに当たり必要な要件・留意点

①技術者倫理の観点

 人々が安全・安心して生活するためにも、強靭な国土を作り、適切な施工、維持管理に努めていくことが重要であり、公益を最優先として取り組み、公共の安全を確保していく必要がある。

②社会の持続可能性の観点

 人々の暮らしを支えるためには、道路等のインフラの管理が欠かせない。新技術を活用する等効率的に管理し、将来世代へ適切に引き継ぎ、環境保全を図りつつ、持続可能な社会を構築していく必要がある。

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※コメント

課題、解決策が明確に記述されていますし、非常に読みやすい論文に仕上がっています。

私が試験本番で記述した場合もこのような流れになるのでは?という論文です。

全体としては危なげなくA評価を取れた論文でしょう。