技術士第二次試験を受験するに当たって、覚えて(理解して)おきたいキーワードとして、今回は令和3年6月18日に記者発表された「インフラ長寿命化計画(行動計画)の第2次計画」について記述します。
試験に出題されやすい「維持管理・更新等」の話題ですので、しっかり理解しておきましょう。
基本は国土交通省などのネット情報などを集約・抜粋したものです。
内容をきちんと理解することにより、どんな問題にも対応できるかと思います。
暗記をするのではなく、理解してこそ論文に活かせるようになります。
このキーワードが知識問題として出題されるわけではありません。
この記載内容を利用して必須科目Ⅰや選択科目Ⅲの論文を作成するための基礎知識をインプットするために活用してください。
リンク先は以下のとおりです。
https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo21_hh_000159.html
別紙1が概要版
別紙2が本文
となっています。(ポータルサイトもあります)
<計画の範囲>
【対象施設】
国土交通省が維持管理・更新等に係る制度や技術を所管するインフラについて、法令で位置付けられた全ての施設が対象
【計画期間】
令和3年度~令和7年度まで
※令和4年度で出題された場合は、この記者発表内容に沿った論文が求められます
<中長期的な維持管理・更新等のコストの見通し>
・「事後保全」の場合、30年後における1年当たりの費用は、平成30年度と比較して約2.4倍
・「予防保全」に基づくインフラメンテナンスの取組を更に徹底していくことが重要
<対象施設の現状と課題>
※課題を抽出するための現状や課題などの知識として確実に把握しておきたい内容です
【国土交通省が所管するインフラの状況】
・今後、高度経済成長期以降に整備されたインフラの老朽化が加速度的に進行していく
・厳しい財政状況や人口減少、少子高齢化の進展等といった社会構造の変化を踏まえ、現場が直面している課題の解決に向けた取組を迅速かつきめ細かく進めていく必要がある
1.個別施設計画の策定・推進
(1)個別施設計画策定の対象施設
以下の施設を除く全ての施設について、予防保全の考え方を前提とした個別施設計画の策定を推進
・経年的な損傷以外の損傷によって健全性が左右される施設
・主たる構成部が精密機械・消耗部材である施設
・規模が小さい施設
(2)個別施設計画の策定状況
※省略
(3)計画内容の充実
・個別施設計画を適宜更新することが必要
・他の機関において蓄積された知見・ノウハウも活用(中長期的なコストの見通しやコスト縮減方策、優先順位の考え方など)し、計画の内容をより充実していく
2.点検・診断/修繕・更新等
(1)点検・診断
・各種点検(定期的な点検・診断、緊急点検等の不定期な点検等)を有効に組み合わせて実施することが必要不可欠
(2)修繕・更新
・地方公共団体管理のインフラを中心に、早期に修繕が必要なインフラが多数存在したまま
・国土交通省では、地方公共団体への財政的な支援として、集中的な修繕等の実施が可能となるよう個別補助制度による支援を実施
・将来の維持管理・更新費の抑制を図る観点から、予防保全型のメンテナンスサイクルへ転換していくためには、機能が低下しているインフラの早期の修繕等を実施し、一刻も早く機能を回復させる必要がある
・更新の際には、施設の集約・再編等を検討するとともに、その時点における新技術の活用や、機能の付加・向上、使い勝手の良いものへの転換など、更新時におけるパラダイムシフトを図っていく必要がある
(3)集約・再編等
・必要性のなくなったインフラの集約・撤去や、利用者ニーズに沿ったインフラの再編・複合化・機能転換を図ることにより、将来の維持管理・更新費の抑制や、時代に合ったストック効果の向上を図るなど、インフラストックの適正化を進めていくことが重要
3.予算管理
(1)トータルコストの縮減と予算の平準化
・あらゆる角度から維持管理・更新等に係るトータルコストの縮減を図り、予算の平準化に努めることが重要
・将来必要となる費用の全体を見通しながら優先順位を検討し、維持更新コストの縮減を図りつつ、投資を計画的に実施していくことが重要
(2)地方公共団体等への予算支援
・「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策」が位置付けられた「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」による取組の更なる加速化・深化を含め、引き続き、個別施設計画の内容の充実を図りつつ、効果的に地方公共団体への財政的支援を実施していく必要がある
(3)受益と負担の見直し
・受益と負担の見直しといった財源確保の観点からの取組を進めることも重要
4.体制の構築
(1)維持管理・更新等に係る技術者の確保・育成
・着実なインフラメンテナンスの実施のためには、地方公共団体職員に対して、対応能力の確保・向上に資する技術的な支援を実施していくことが重要・
・国土交通省では、各地方整備局等に相談窓口を設置しているほか、地方公共団体等の職員を対象とした研修や講習を実施し、職員の技術力向上に努めている
(2)維持管理に関する資格制度の充実
・国土交通省では、既存の民間資格を評価し、必要な技術水準を満たす資格を登録する制度を構築しており、維持管理分野については、令和3年2月時点で、述べ245の民間資格が登録されている
(3)管理者間の相互連携体制の構築
・国土交通省では、施設の特性に応じて高度な技術力を要する修繕等に限って国による代行制度を設けている分野もあるほか、研究機関等を含めた「メンテナンス技術集団」による助言や技術者の派遣を行うなど、地方公共団体等を支援する維持管理・更新等に取り組んでいる
・都道府県が市町村から点検・診断業務を受託する、地域一括発注の取組も実施
・各分野において、国や地方公共団体等の管理者が参画し、インフラメンテナンスに関する情報共有を行う「メンテナンス会議」を定期的に開催
(4)担い手確保に向けた環境整備
・修繕工事は、新設工事と比べて多くの労力を要し、人件費や機材のコストも割高になる場合がある
・橋梁補修工事の発注件数が近年増加していることを踏まえ、国土交通省では、適正な競争環境を確保するため、令和3・4年度の工事競争参加資格審査時から「橋梁補修工事」を新設
・構造物の大規模な修繕工事など、高度な工法等の活用が必要な工事において、技術提案・交渉方式を活用して適切な修繕等を行うため、「国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式の運用ガイドライン(平成27年6月、令和2年1月最終改正)」を策定
(5)民間事業者等と連携した維持管理の実施
・「包括的民間委託」などの官民連携手法をインフラの維持管理に導入することにより、発注者側の負担軽減のほか、民間企業が持つ維持管理に関する技術やノウハウを十分に活かした行政サービスの向上に繋がる可能性がある。特に、民間事業者の創意工夫をより引き出すには、複数年契約や性能発注方式とすることが考えられる
(6)国民等の利用者の理解
・「インフラメンテナンス国民会議」が設立され、革新的技術や自治体支援など様々なテーマでのセミナーや意見交換会が開催
・道路においては、重量を違法に超過した一部の大型車両が、道路橋の劣化に極めて大きな影響を与え、国民の重要な財産を傷めている現状があること等、各インフラの利用者の理解促進に向けた取組の推進が重要
5.新技術の開発・導入
(1)技術研究開発の促進
・インフラの点検・診断は、ドローン、非破壊検査、ロボット等の新技術の開発が進むとともに、これらを活用した効率的・高度化された点検手法等が広まり始めている。引き続き、これらの取組を継続していくことが必要
(2)円滑な現場展開
・国土交通省における直轄土木工事(一部を除く)では、原則として新技術の活用を義務付けた。引き続き、現場条件にあった適切な新技術の更なる導入・普及により、インフラメンテナンスの高度化・効率化を促進していく必要がある
6.情報基盤の整備と活用
(1)情報の蓄積・更新
・維持管理・更新等に必要な情報のデータベース化
・社会資本情報プラットフォームなどを整備
(2)情報の利活用と発信・共有
・施設管理者間にて維持管理情報を共有することで、類似した損傷状況・補修事例の参照が可能となるなど、メンテナンスの高度化・効率化に向けた取組を推進
7.基準類の整備
※省略
8.法令等の整備
※省略
<必要施策に係る取組の方向性>
【これまでの取組の総括】
・メンテナンスサイクルの構築 → 地方公共団体管理施設も含めたインフラメンテナンスのサイクル構築が図られたものと評価
・将来の維持管理・更新費の抑制 → 早急に修繕等が必要な施設が多数残っている状況
・メンテナンスの生産性向上 → 更なる生産性向上を図っていくため、引き続き、取組を推進
【防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策】
・「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」により、緊急または早期に措置すべきインフラに対して集中的な修繕等の対策を推進し、予防保全型インフラメンテナンスへの転換の加速化
【目指すべき姿】
・予防保全に基づくインフラメンテナンスへの本格転換による維持管理・更新に係るトータルコストの縮減や、新技術等の普及促進によるインフラメンテナンスの高度化・効率化等を進め、インフラが持つ機能が将来にわたって適切に発揮できる、持続可能なインフラメンテナンスを実現
※「持続可能」であることが重要です。
【計画期間内に重点的に実施すべき取組】 ※課題・解決策として活用できそうです
Ⅰ.計画的・集中的な修繕等の確実な実施による「予防保全」への本格転換
・予防保全の管理水準を下回る状態となっているインフラに対して、計画的・集中的な修繕等を実施し機能を回復させ、予防保全型のメンテナンスサイクルに早期に移行し、将来の維持管理・更新費の抑制を図る
Ⅱ.新技術・官民連携手法の普及促進等によるメンテナンスの生産性向上の加速化
・多くのインフラを管理する一方、メンテナンスに携わる人的資源が不足している地方公共団体等が適切かつ効率的なインフラメンテナンスを実施していくため、新技術や官民連携手法の導入促進など、メンテナンスの生産性向上に資する取組の推進を加速化
Ⅲ.集約・再編やパラダイムシフト型更新等のインフラストック適正化の推進
・社会情勢の変化や利用者ニーズ、将来のまちづくり計画等を踏まえたインフラの集約・再編や、機械設備の耐用年数の到来など来るべき大更新時代に備えた更新時のパラダイムシフトの検討など、インフラストックの適正化に向けた取組を推進
※以下は具体的取組の例 ※解決策(具体例)として活用できそうです
1.個別施設計画の策定・充実
(1)計画の更新と内容の充実
・策定を促し、目標を定めて早期に策定を完了
・個別施設計画の定期的な更新を促進
・個別施設計画内容を一覧に取りまとめホームページにて公表する「見える化」を実施
(2)施設毎の取組
※省略しますが、関連する部分は目を通したほうがよいです
2.点検・診断/修繕・更新等
(1)点検・診断
・各分野における定期点検サイクルに基づいた施設点検を着実に実施し、インフラの経年劣化や損傷度合いの把握、健全度の評価などを確実に実施
(2)修繕・更新
・早期に措置が必要なインフラに対しては、交付金や個別補助制度の活用等により、集中的な対応を施し、インフラの機能を回復させ、予防保全型のインフラメンテナンスへの転換を早期に図る
・「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づいた集中的な修繕等の対策の推進により、予防保全への転換を加速化
・施設の単純更新ではなく、新技術の恩恵を享受し機能向上を付加する等、更新時のパラダイムシフトを図っていく
(3)集約・再編等
・必要なインフラの選択と集中を図り、将来の維持管理・更新費の抑制や、時代に合ったストック効果の更なる向上に向けて、必要性のなくなったインフラの集約・撤去や、利用者ニーズに沿ったインフラの再編・複合化・機能転換を推進
・地方公共団体等による集約・再編等の取組促進に向けて、事例集やガイドラインの充実・周知、財政的な支援を実施
(4)施設毎の取組
※省略しますが、関連する部分は目を通したほうがよいです
3.予算管理
(1)トータルコストの縮減と予算の平準化
・将来の維持管理・更新費の抑制を図ったうえで、インフラにかかる投資を計画的に実施
(2)地方公共団体等への予算措置
・、地方公共団体等が実施するインフラメンテナンスの取組に対して、国からの財政的な支援が必要
(3)受益と負担の見直し
・今後、増大が見込まれる更新需要に対応するため、財源確保の観点から受益と負担の見直しを進める
(4)施設毎の取組
※省略しますが、関連する部分は目を通したほうがよいです
4.体制の構築
(1)維持管理・更新等に係る技術者の確保・育成
・インフラメンテナンス国民会議地方フォーラムにおいて、地方公共団体等への参加の呼びかけを行うとともに、適切な技術的支援等を実施
・地方公共団体等の職員も対象に含めた研修・講習会を開催し、担当職員の参加を促進することで、施設管理者における技術力向上を図る
(2)維持管理に関する資格制度の充実
・人材育成やメンテナンスの質の確保の観点から、構築されている民間資格登録制度の更なる充実を図る
(3)管理者間の相互連携体制の構築
・高度な技術力を要する地方公共団体管理の施設に対して、国や研究所からの技術的な助言や技術者派遣等を実施
・修繕等の代行制度を活用
・市町村が実施する点検・診断の発注事務を都道府県等が受委託する地域一括発注の取組を引き続き推進
・「メンテナンス会議」を定期的に開催し、参画する国や地方公共団体等の管理者間においてメンテナンスに関する情報共有を実施
(4)担い手確保に向けた環境整備
・適正な予定価格の設定、建設企業等が参加しやすい発注ロット・入札契約方式の工夫に努めていく
・工期の適正化や施工時期の平準化を推進
・「建設キャリアアップシステム(CCUS)」の完全実施
・女性の定着促進や外国人材の受入環境の整備と活用促進等に取り組むとともに、優秀な若手技術者等が早期に活躍できる環境整備、若者の建設産業への入職意欲に働きかける戦略的な広報、学校におけるキャリア教育等への建設企業の協力の促進
(5)民間事業者等と連携した維持管理の実施
・「協力団体制度」の充実
・包括的民間委託などの官民連携手法の導入拡大
(6)国民等の利用者の理解
・インフラメンテナンス国民会議による普及活動や、施設の現地見学会や維持管理への参画等を通じて、国民の理解をさらに促進
(7)施設毎の取組
※省略しますが、関連する部分は目を通したほうがよいです
5.新技術の開発・導入
(1)技術研究開発の促進
・民間等が技術研究開発に投資しやすい環境を整備
(2)円滑な現場展開
・NETIS等を活用
・性能カタログに掲載される技術数を増加
・インフラメンテナンス国民会議を通じた新技術のシーズとニーズのマッチング数を増加
(3)施設毎の取組
※省略しますが、関連する部分は目を通したほうがよいです
6.情報基盤の整備と活用
(1)情報の蓄積・更新
・確実に蓄積するとともに、施設の点検結果等を踏まえて適切に更新
・データベースの適切な運用
(2)情報の利活用と発信・共有
・施設管理者間や分野間での連携を推進
・活用事例の具体化・発信を通じ、横展開を図る
(3)施設毎の取組
※省略しますが、関連する部分は目を通したほうがよいです
7.基準類等の充実
(1)基準類等の充実
・適切に運用するとともに、適時・適切に改定を行う
(2)施設毎の取組
※省略しますが、関連する部分は目を通したほうがよいです
<フォローアップ計画> ※リスク対策として活用できそうです
・進捗状況を把握するとともに、計画のフォローアップを行う
・国土交通省ホームページ等を通じて積極的に情報提供を図る
<論文での活用>
上記をうまく活用できると高評価論文が記述できるかと思います。
特に選択問題Ⅲとして活用できそうです。
出題されるテーマによって使い分けができるよう訓練しておきましょう。
少しでも参考になったのであれば幸いです。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。