【Tさま】からA評価論文をご提供していただきました。
受験生の方はぜひ参考にしてください。
(1)多面的な3つの課題
(1)-1予防保全型維持管理への転換
我が国の高速道路は高度経済成長期以降に集中的に整備されており、今後、一斉に建設後50年以上の老朽化を迎える。このことから、修繕・更新費用等増加により財政が逼迫する恐れがある。
このため、予防保全型維持管理への転換と併せて、維持管理の効率化を図ることが施設の安全確保、財政負担軽減の観点から重要な課題である。
(1)-2暫定2車線区間の4車線化
我が国の高規格幹線道路は計画延長14,000kmの約12,000kmが開通しているが、そのうち約4割が暫定2車線区間である。
暫定2車線区間は災害時のリダンダンシー確保の支障になるだけでなく舗装の維持修繕等が困難である。
このため、暫定2車線区間の4車線化を実施することが、高速道路の維持修繕効率化の観点から重要な課題である。
(1)-3メンテナンス産業の担い手確保
我が国のメンテナンス産業の担い手不足が深刻化している。原因として、我が国の建設産業が新規インフラ建設を中心に成長してきたことや、維持修繕工事は施工が非効率であり利益が出にくいことも一因と考えられる。
このため、メンテナンス工事の積算基準等の見直し
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利益率向上や、働き方改革による長時間労働是正等を行うことがメンテナンス産業の担い手確保の観点から重要な課題である。
(2)最も重要と考える課題と複数の解決策
(2)-1最も重要な課題
(1)-1予防保全型維持管理への転換により、施設の安全性確保による国民の安全安心向上、厳しい財政負担軽減のため最も重要な課題と考える。
(2)-2複数の解決策
①メンテナンスサイクルのスパイラルアップ
点検・診断・措置・記録のメンテナンスサイクルをサイクル毎にスパイラルアップを図る。
具体的には、ドローンやセンサーによる、高所部の点検等、AI技術による構造物診断等を実施することで効率化を図っていく必要がある。
②xROADデータプラットフォームの活用
道路データプラットフォームに維持管理データ共有化を図ることで、横断的なデータ活用による効率化を図る。
具体的には、共有データの先進事例、類似事例等活用することで効率化、低コスト化を図る。
③アセットマネジメントの導入
橋梁、トンネル、舗装等の、中長期的な修繕計画を作成すると共に、アセットマネジメントを導入することが必要である。
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効果として、修繕・更新等の投資の平準化、最適な時期での補修・修繕等実施により長寿命化効果も期待できる。
④維持管理の容易な構造による整備・更新
橋梁等の整備・更新に当たって、維持管理の視点から補修・修繕等の手間が少なくなる構造が必要である。
例えば、橋梁上部工の水切り部の工夫により、雨水等による床版裏面劣化の抑制を図る等の工夫が必要である。
(3)新たに生じるリスクとそれへの対策
(3)-1新たに生じるリスク
予防保全が対峙管理への転換に伴う、デジタル新技術導入に伴いベンダー企業の技術のブラックボックス化により、建設業者のデジタル技術の継続的な運用が困難となる恐れがある。
(3)-2リスク対策
デジタル化に伴い、建設業界全体でベンダー企業との連携を図る必要がある。
また建設業界でのデジタル人材活用促進が必要である。
また、今後のデジタル社会への対応に向けて、学校教育での人材教育、研修等の実施によりデジタル人材育成を行い、デジタル化に対応していくことが、建設産業の持続性確保のため重要と考える。
以上
※コメント
問題文のキーワードである「新たな知見」に的確に対応した論文に仕上がっています。
論理の飛躍などもなく、内容もわかりやすいものになっています。
危なげなくA評価がもらえた論文だったでしょう。