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【令和6年度 技術士第二次試験問題 建設部門 道路科目 Ⅲ-2】について考える。【模範解答イメージあり】

〇問題文

東日本大震災以降、災害初動時における道路啓開の重要性が大きく認識され、関係機関との連絡体制の構築、発災直後からの対応可能な人員及び資機材の確保など、全国各地で事前の備えが進められてきた。しかしながら、令和6年能登半島地震では、道路啓開に時間を要するなど、被災地支援の初動対応が取りづらい状況が発生した。このような状況を踏まえて、以下の問いに答えよ。

(1)大規模災害時において道路啓開を迅速に行うに当たり、道路に携わる技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

 

 

〇問題文把握

まずはしっかり問題文を読み込み、背景・現況などを把握しましょう。

背景:道路啓開の重要性が大きく認識され、連絡体制構築、人員及び資機材の確保など、全国各地で事前の備えが進められてきた。 ← 進められてきただけであって、今現在、実際に備えが完了していないという解釈もできます。これらが課題に関わる可能性もありそうです。

現況:令和6年能登半島地震では、道路啓開に時間を要するなど、被災地支援の初動対応が取りづらい状況が発生。 ← 時間を要した原因が分析できれば、課題を抽出できるかもしれません。

という情報が問題文から読み取れます。

全体的には「道路啓開」についての問題ということですね。

 

(1)の問題文では、

「多面的な観点から3つの課題を抽出」「それぞれの観点を明記したうえで」と例年通りの出題パターンなので特に注意することはないですね。

 

「大規模災害時において道路啓開を迅速に行うに当たり」ということで、「道路啓開」に関する資料を探してみましたが、これだという資料が見つかりません。特に、能登半島地震時の道路啓開の時間を要した原因に関する資料は見つけられませんでした。

北陸地整では「国を主体とした協議会の設置」、「道路啓開計画」を策定していなかったので、それに関わる話題が求められた問題かとは思うのですが、単純に「協議会を設置する、道路啓開計画を策定するのが解決策だ」で終わってしまいそうです。

総務省では、令和5年4月25日に「災害時の道路啓開に関する実態調査」を公表しています。

北陸地整では、「北陸圏域道路啓開計画策定協議会」を令和6年2月と3月に実施しています。

これらの資料を参考に考えてみます。

 

道路啓開の流れは、次の3つの段階(方向性)がありそうです。

①平時(事前)

②発災後

③実効性の向上

 

この3つを課題とすると、

①事前の観点より平時の備えを強化することが課題

②事後の観点より発災後の対応を迅速化することが課題

③効果の観点より実効性を向上させることが課題

(※観点は適当です)

と導けるかと思います。

 

解決策候補は

課題①に対応 → 協議会の設置(体制構築)、道路啓開計画を策定(路線の選定)

課題②に対応 → 情報連絡体制の確立、迅速な啓開ルート設定、段階的な啓開作業実施

課題③に対応 → 実働訓練、広報・研修

でしょうか。

 

これをベースに、各々を分析(背景・現況・問題発生要因・制約要因など)することで記述できそうです。

 

(2)の問題文は「抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ」になっています。解決策を考えた場合、最重要なのは、報道で騒がれた課題①の解決策かな~と思いますが、絶対的な根拠はないですね。

 

(3)の問題文は「すべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ」となっています。

これは難しいですね・・・

一般論で攻めるのは難しい印象です。

リスク対策を記述できる解決策を選択する必要がありそうです。

こういう場合は「時代の変化」が有効かと思います。

今はこの解決策で良いけど、将来的には状況が変化するかもしれないリスクがあるので常にアップデートする必要があるという流れになります。

その他、「情報セキュリティ」なども有効かと思います。

専門技術を踏まえるのが難しいですが、上記のような対応も覚えておいて損はないかと思います。

 

ちなみに一般論で攻める場合は

リスクが「費用(コスト)関連」 → 対策は「国支援」「民間資金活用」「選択と集中で対象を絞る」など

リスクが「人材不足関連」 → 対策は「ナレッジマネジメント活用」「生産性向上」「民間コンサル支援」など

リスクが「ノウハウ関連」 → 対策は「国支援」「民間コンサル支援」「社会実験」「試行運用」など

リスクが「時間関連」 → 対策は「積極的な国主導によるスピードアップ」など

などのパターンも準備しておきましょう。

 

以上が問題文を把握し、記述するまでの頭の中の状態です。

 

 

〇記述例

実際の記述例を簡単に記載します。

合格論文ではなく論文イメージであり、たくさんある例の1つです。詳細はご自身で調べ考え、第三者に見てもらうことで上達します。あくまでも参考例(資料抜粋例、文字数無視)であり、これを暗記して対応しようとしても合格はできません

 

※令和6年能登半島地震での道路啓開に関する情報が不足しているため、想像で記述している内容もありますので注意してください。

 

1.課題

(1)平時の備え

 令和6年能登半島地震では、事前に道路啓開候補路線が設定されておらず、啓開ルートを決定するのに時間を要した。また、点検及び啓開に必要な人員体制及び資機材の確保も不十分であったため、初動対応に遅れが生じた。

 したがって、事前の観点から、平時の備えを強化することが課題である。

(2)発災後の対応

 令和6年能登半島地震の発災後、道路管理者及び関係機関における情報連絡体制を速やかに構築することができず、迅速に啓開ルートを設定することができなかった。また、道路管理者間に必要な応援・受援体制も迅速に構築することができなかった。

 したがって、事後の観点から、発災後の対応を迅速化することが課題である。

(3)実効性向上

 平時から道路啓開作業の具体的行動を訓練していなかったため、令和6年能登半島地震では、迅速に道路啓開作業を進めることができなかった。また、大規模地震時の心得やとるべき行動を平時より周知していなかったため、道路啓開作業への理解と協力に時間を要してしまった。

 したがって、効果の観点から、道路啓開作業の実効性を向上することが課題である。

 

2.解決策

上記課題のうち最も重要と考える課題は「(1)平時の備え」である。なぜなら・・・(簡単に理由を記述)。以下にその解決策を示す。

(1)協議会設置

 平時の備えを強化するための解決策の1つとして挙げられることは、発災前に協議会を設置することである。なぜなら、・・・(簡単に理由を述べる)。

 具体的には、関係する道路関係者で構成された協議会を設置し、あらかじめ、被災情報の連絡方法や道路啓開作業に必要な人員及び資機材の確保方法などを共有しておく。また、・・・。

(2)道路啓開計画策定

 平時の備えを強化するための解決策の1つとして挙げられることは、発災前に道路啓開計画を策定することである。なぜなら、・・・(簡単に理由を述べる)。

 具体的には、道路啓開を要する災害の想定、優先的に道路啓開を実施するルート(道路啓開候補路線)やその手順などを共有しておく。また、・・・。

 

3.リスクと対策

 協議会の設置や道路啓開計画を策定し、平時の備えを強化することで、迅速に道路啓開を実施することが期待できるが、時代の変化、ニーズの変化などによって、道路啓開候補路線なども変化することが新たに生じうるリスクである。

 上記リスクの対策として挙げられることは、協議会などを定期的に開催し、求められる役割の変化などを速やかに把握するとともに、道路啓開訓練などで得た新たな知見を計画に反映させることで、道路啓開計画などを遅れることなく常にアップデートしていくことが重要である。

 

以上

 

〇まとめ

 ざっとまとめてみましたが、これが「正解」というわけではありません。他にもっとよい正解があるかと思います。色々な情報を集め、多くの意見に耳を傾けることによって、更なるレベルアップに努めてください。

 

※最後まで読んでいただきありがとうございます。