スマート技術員(技術士第二次試験受験者を応援)

建設部門 道路科目を中心に情報を提供しています

【A評価論文 令和6年度 必須科目 Ⅰ-2】

【Kさま】からA評価論文をご提供していただきました。

受験生の方はぜひ参考にしてください。

 

1.将来の災害対応におけるDXの3つの課題

【課題1】インフラの作り方のあり方

 課題1は、インフラ復旧・再整備の観点で抽出した。

 理由は、早期復旧復興が求められる中、生産労働年齢の減少を上回る速度で、インフラ復旧・再整備が必要なためである。

 現在、BIM/CIMや確認段階での遠隔臨場、ICT施工の導入などが進んでいる。一方、ICT施工導入率は大企業の9割に対し、地元中小企業は5割と水準が低い。

【課題2】インフラの使い方のあり方

 課題2は、ストック効果の最大化の観点で抽出した。

 理由は、厳しい財政下、賢く安全に持続可能(3S)なインフラの使い方が更なるストック効果を発揮し、将来発生する災害の被害を最小化し、迅速な復旧に寄与するためである。

 現在、ハイブリッドダムによる治水機能強化、除雪車作業の自動化、盛土や高架橋への津波避難階段整備などが進んでいる。一方、建機のオートメーション化など検証中の技術も多く、技術革新が求められる。

【課題3】データ利活用のあり方

 課題3はデータ連携による効率化の観点で抽出した。

 理由は、インフラ周りのデータと多分野との連携が強靭化など事前対策と被害抑制、迅速な復旧に寄与するためである。

 現在、建設CALS/ECなどの標準化、電子納品、設計

---------------------------------------

と施工の連携などが進んでいる。一方、プロセスが生成するデータは多量であり、十分に活用されていない。

2.最重要課題と解決策

【最重要課題】課題3:データ利活用のあり方

 理由は、建設プロセスで生成されるデータのフル活用が、生産年齢人口の減少を上回る速度で事前対策と迅速な復旧に寄与するためである。3つ解決策を記す。

【解決策1】国交省データプラットフォームの構築

 解決策1は、建設生産プロセスで生成されるデータを収集・蓄積・連携する環境整備を進める。

 理由は、建設生産プロセスが生み出すデータのフル活用が、建設生産プロセスを効率化するためである。

 具体には、調査測量、設計、施工、修繕更新の3Dデータ、3D都市モデルなどBIM/CIMに活用できるデータを収集する。デジタルツインデータ作成ツールや事例などの蓄積、オープンデータ化、民間新サービス誘発なども進める。

【解決策2】i-construction2.0の実装

 解決策2は、建設生産プロセス全体をオートメーション化する。

 理由は、事前対策の効率化や強靭化などの事前対策、被害最小化、迅速な復旧復興に寄与するためである。

 具体には、検査の遠隔臨場、BIM/CIMの4Dデータによる施工計画や作業手順の複数人での確認と手戻り防止、建設機械の全自動化、遠隔操作、大企業による

---------------------------------------

地元中小企業へのICT施工指導・相談などを進める。災害時のドローン活用、通信環境整備も進める。

3.新たに生じうるリスクと対策

【新たに生じうるリスク】関係者の技術力不足

 理由は、DXの社会実装が進む中、従来のハード、ソフト、経験的知見にデジタルが加わり、高度化する技術をフル活用する技術者が不可欠なためである。

【対策】人材育成

 従来の技術伝承に加え、研修プログラム拡充、技術品質照査会、議論などを進める。特にデジタルは専門業界からの派遣受入、専門課程の履修者を採用し、協働・OJTを通じ関係者の技術力向上を図る。

4.業務の遂行に必要な要件と留意点

【技術者倫理の観点】公共の利益の優先

 理由は、技術は社会に与える影響が大きいため、公衆の安全を確保する責務が技術者にあるためである。

【留意点】トレードオフ

 問題解決に重点を置き過ぎて危険を及ぼす技術を採用しないよう留意し、研鑽し公平公正に分析評価する。

【社会の持続性の観点】住み続けられるまちづくり

 理由は、インフラは一旦整備すると長期にその場所で環境に影響を与え続けるためである。

【留意点】環境負荷軽減

 インフラライフサイクル全体の脱CO2に留意し、グリーン技術開発、検証、社会実装を進める。

 

※コメント

 

インフラ分野のDXアクションプラン2の資料に沿って記述されています。

課題、解決策をタイトルで表現する論文形式です。

課題は、観点を先に述べ、理由を述べる順番です。

課題で人員や予算について触れていない論文になっています。