【Yさま】からA評価論文をご提供していただきました。
受験生の方はぜひ参考にしてください。
1.次世代の高規格道路ネットワークの課題
(1)シームレスネットワークの構築
我が国では、これまで増大する交通需要に対応するため、道路ネットワークをつなげることを優先した整備を行ってきた。その結果、都市間の移動性は諸外国に大きく劣ると共に、移動時間の約4割が渋滞による時間ロスが生じる状況となっている。こうした状況は、我が国の経済成長の妨げになっており、改善する必要がある。そのため、経済再興の観点からシームレスネットワークの構築が課題である。
(2)災害に強いネットワークの構築
近年、我が国では、短時間の強雨・大雪及び大規模地震等の巨大災害の発生により、高規格道路において通行止めや車両滞留が発生している状況である。こうした状況は、災害リスクを高める要因の1つとなっている。そのため、国土安全保障の観点から災害に強いネットワークの構築が課題である。
(3)物流危機への対応
物流業界では、令和6年4月よりトラック運転手の時間外労働の上限規制が適用され、年960時間が上限となった。こうした状況下で何も対策を講じなければ、2030年には輸送能力が約34%不足し、構造的な物流危機につながることが懸念される。そのため、輸送能力確保の観点から物流危機への対応が課題である。
2.最重要課題及び課題に対する複数の解決策
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最重要課題は、シームレスネットワークの構築を挙げる。その理由は、今後、我が国が経済成長を取り戻し、安全で活力ある国土を形成していくために最も重要と考えるからである。以下に複数の解決策を示す。
(1)パフォーマンス・マネジメントによる対策実施
ネットワークの階層に応じたサービスレベル実現のため、パフォーマンス・マネジメントによる対策を実施する。具体的には、DXを活用したサービスレベルの評価を実施し、ボトルネック対策を効率的かつ効果的に実施する。これにより、道路ネットワーク全体のサービス向上につながり、我が国の経済再興・国民の安全・安心な生活確保に寄与する。
(2)暫定2車線区間の4車線化の推進
都市間移動の速達性確保や大規模災害時の通行止めリスク軽減等を目的として、暫定2車線区間の4車線化を推進する。具体的には、データを有効活用し、整備の必要性の高い箇所から優先的に4車線化に着手すると共に、2+1車線やスマートICを設置する。これにより、ネットワークの強靭化及び機能高度化につながり、我が国の経済再興・国民の安全・安心な生活に寄与する。
(3)持続可能なメンテナンスサイクルの構築
道路ネットワーク機能を将来にわたり維持していくため、持続可能なメンテナンスサイクルの構築を図る。具体的には、品質が確保されたインフラを構築すると
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共に、これを健全に維持していくための新技術の導入や担い手を含めた体制の確保に取り組む。これにより、将来世代に適切な道路ネットワークや維持管理体制を継承することが可能となる。
3.新たに生じるリスクとそれへの対策
(1)新たに生じるリスク
上記の取り組みを行い、持続可能な高規格道路ネットワークを構築することにより、我が国の経済再興、安全で活力ある国土形成が可能となる。しかし、取り組みを行うためには、インフラ整備等のハード対策やシステムの構築等のソフト対策等に多大なコストがかかることがリスクとして挙げられる。
(2)新たに生じうるリスクへの対応
新たに生じるリスクへの対策として、受益者負担・原因者負担の原則に沿った財源の確保を行う。その際、国民に対して事業の内容や効果を明らかにすると共に、丁寧な事業説明を行い、利用者の理解を得た上で実施していくことが重要である。
以上
※コメント
少し文字数が少ない印象ですが、WISENET2050・政策集の資料に沿って記述されています。
論理の矛盾もなく読みやすい論文でもあるため、危なげなくA評価がもらえたでしょう。