技術士第二次試験を受験するに当たって、覚えて(理解して)おきたいキーワードとして、今回は令和5年10月11日に記者発表された「リスク管理型の水資源政策の深化・加速化について」について記述します。
試験に出題されやすい話題ですので、しっかり理解しておきましょう。
基本は国土交通省などのネット情報などを集約・抜粋したものです。
内容をきちんと理解することにより、どんな問題にも対応できるかと思います。
暗記をするのではなく、理解してこそ論文に活かせるようになります。
このキーワードが知識問題として出題されるわけではありません。
この記載内容を利用して必須科目Ⅰの論文を作成するための基礎知識をインプットするために活用してください。
リンク先は以下のとおりです。概要版もあります。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/water02_sg_000164.html
記者発表は
https://www.mlit.go.jp/report/press/water02_hh_000159.html
「提言 本文」を中心に内容を確認していきます。
< 1.はじめに >
(平成27年国土審議会答申)
(平成29年国土審議会答申)
(水資源を巡る情勢変化)
※全体像を把握するために目を通しておきましょう
(リスク管理型の水資源政策の深化・加速化に向けて)
観点として、「治水」、「利水」、「環境」、「エネルギー」等との記述があります。
論文に利用できるかもしれません。
また、課題として、
・流域のあらゆる関係者が連携し、既存ダム等の水インフラを有効活用するなど、総合的な水のマネジメントの推進を図る枠組みを構築すること
・将来の気候変動による影響に対して対策が手遅れにならないように、既存ダム等を最大限かつ柔軟に有効活用し、水を可能な限り安定して供給すること
・不測の大規模災害・事故による断水等の水供給リスクに対し、最低限の水を確保できるよう備えを強化すること
の3つが記述されています。
これらを論文の「課題」として論理展開してもOKでしょう。
< 2.水資源を巡る情勢変化(平成27年答申以降) >
※課題を抽出するための現状として把握しておきたい内容です
2-1 気候変動の影響の顕在化
(1)近年の渇水状況と降雨の傾向
(2)将来の気候変動による水資源への影響
2-2 水需要の変化と新たなニーズの顕在化
(1)将来人口の動向とライフスタイルの変化
(2)産業構造の変化
(3)気候変動等による農業用水需要の変化
(4)気候変動緩和策としての水力発電の推進
(5)洪水調節機能の強化
2-3 大規模災害・事故による水供給リスクの更なる顕在化
(1)近年の大規模災害による水供給リスクの更なる顕在化
(2)水インフラの老朽化・劣化等による水供給リスクの更なる顕在化
< 3.リスク管理型の水資源政策の深化・加速化について >
社会のニーズとして、
・人口減少、産業構造の変化、気候変動等による農業用水需要の変化に応じた水供給
・2050年カーボンニュートラルに向けた水力発電の推進
・上下水道施設の集約・再編
・動植物の生息環境の維持や良好な河川景観の形成
・地下水の適正な保全と利用
・大規模災害・事故時の最低限の水の確保
・水災害の激甚化・頻発化への対応
の7つが記述されています。
論文に活用できそうな内容です。
また、「これらの多様なニーズに対応するためには、これまでの利水を中心とした従来の水資源政策を、将来は、治水、利水、環境、エネルギー等の総合的な観点へ転換し、国民や企業等のエンドユーザーを含む流域のあらゆる関係者が水に関して一体的に取り組む、いわば総合的な水のマネジメントへと政策展開することが期待される」との記述もあります。
この一文が論文問題のメインテーマになっていれば、この提言内容が論文に利用できると考えられます。
3-1 流域のあらゆる関係者が連携した既存ダム等の有効活用等による総合的な水のマネジメントの推進
(1)水需給バランス評価等を踏まえた流域のあらゆる関係者が連携した枠組みの構築
<対応すべき課題>
※課題として確実に把握しておきたい内容です
流域のあらゆる関係者が有機的に連携し、流域の総合的な水のマネジメントの推進を図るため、関係者間のより円滑な調整を可能にするための枠組みの構築が必要
<今後の水資源政策の方向性>
※解決策候補として確実に把握しておきたい内容です
○ 水需給バランス評価手引きの作成
○ 流域のあらゆる関係者が連携した情報共有等を図る枠組みの構築
・流域の水運用を含めた水道の集約・再編の検討
・水系管理の観点から流域における増電の検討
(2)気候変動リスク等を踏まえたダム容量等の確保・運用方策の検討
<対応すべき課題>
※課題として確実に把握しておきたい内容です
既存ダム等を最大限かつ柔軟に有効活用する方法について速やかに検討する必要
その際、水力発電の推進と洪水調節との両立なども併せて一体的に検討する必要
<今後の水資源政策の方向性>
※解決策候補として確実に把握しておきたい内容です
○ 気象予測技術を活用し、多目的な用途に柔軟に活用できるダム容量等を確保・運用する方策
・その際、事前放流をより効果的に行うための放流機能の強化等の施設整備
・観測の強化、気象・水象予測技術の高度化
・不特定容量の活用の検討
○ 気候変動による渇水リスクの検討の加速化
3-2 大規模災害・事故による水供給リスクに備えた最低限の水の確保
<対応すべき課題>
※課題として確実に把握しておきたい内容です
施設機能の保全に万全を期すとともに、不測の大規模災害・事故時においても最低限の水を確保できるよう、平時から検討を進め、備えを強化する必要
<今後の水資源政策の方向性>
※解決策候補として確実に把握しておきたい内容です
○ 大規模堰等において、施設管理者と利水者が連携し、大規模災害・事故による水供給リスクに備えた応急対応を検討
・利水者において、最低限の水供給の目標設定、浄水場間の水融通などを検討
・必要に応じて、流域のあらゆる関係者が平時より連携・協力し、緊急的な水融通などを検討
○ 上記を実施したとしても被害が想定される場合、投資効果も考慮した施設のリダンダンシー確保を検討
○ パイロット的な検討を進め、他施設でも検討できるよう、検討手順等を示すガイドラインを作成
3-3 水資源政策の深化・加速化に向けた重要事項
※リスク対策として利用できそうな内容もあるので、しっかり目を通しておきましょう。
(1)デジタル技術の活用の推進
○ 遠隔操作等の導入によるダムや堰等の管理の高度化、省力化
○ デジタル技術の活用による水管理の効率化、維持管理・更新の効率化
○ 気象予測の渇水対応への活用
(2)将来の危機的な渇水等に関する広報・普及啓発
○ エンドユーザーにおける渇水リスク、持続可能な水利用や節水の重要性などの認知度向上
・受益地域と水源地域の相互理解・交流の推進
○ 渇水の生活や社会経済活動への影響について、効果的な手法による広報・普及啓発
(3)2050年カーボンニュートラルの実現に向けた水インフラの取組の推進
○ 徹底した省エネルギー化に向けて、水インフラの管理運営においては、2050年カーボンニュートラルの観点から施設・設備の更新、施設の集約・再編を検討
< 4. あとがき >
※リスク対策として利用できそうな内容もあるので、しっかり目を通しておきましょう。
< 別紙 >
※「提言 参考資料」として8ページの資料があります。わかりやすく説明していますので、必ず目を通しておきましょう。
<論文での活用>
上記をうまく活用できると高評価論文が記述できるかと思います。
特に必須科目Ⅰとして活用できそうです。
出題されるテーマによって使い分けができるよう訓練しておきましょう。
少しでも参考になったのであれば幸いです。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。