「ズバリ予想!」は、やはりピタリとは当たらないですね。当たり前ですが・・・
ある程度範囲を絞るためには役に立つでしょうが・・・この程度が限界みたいです。
もっと範囲を絞った予想ができれば、もっと楽に合格へ導けるのですが・・・
道路科目は出題範囲が広範囲という印象は変わらないですね。
想定外の問題も出題されますし・・・簡単には合格させてくれません。
相変わらず問題文の設問条件範囲が狭いですが、標準的な問題が出題されているのも事実です。
昨年よりは記述しやすかったという受験生もいたことでしょう。
それでは、予想キーワードと実際出題された試験問題を比べてみたいと思います。
①必須科目Ⅰ-1
試験問題は「巨大地震災害」についてでした。
この問題に対応するための知識としては「国土交通白書」「令和5年度予算決定概要」などとなるでしょう。
予想キーワードとして「防災・減災、国土強靱化」を挙げていましたが、大半の受験生は万全の準備をしていた話題だったと思います。
本受講生には地震特化を想定した予想問題を配付していましたので無難に解答できたかと思います。
②必須科目Ⅰ-2
試験問題は「インフラメンテナンス第2フェーズ」に関する出題でした。
この問題に対応するための知識としては「提言(総力戦で取り組むべき次世代の「地域インフラ群再生戦略マネジメント」~インフラメンテナンス第2フェーズへ~)」が該当するでしょう。
予想キーワードとして「地域インフラ群再生戦略マネジメント」を挙げていましたが、これも大半の受験生が準備していたと思います。
今年の必須科目に関しては予想通りの出題だったと言えます。
必須科目Ⅰは必ずA評価(60点以上)を取らないと合格はありえません。
今年は比較的標準的な出題テーマだったと思いますので、「とりあえず最後まで書けた」という受験生が多かったと思います。
実際は相対評価と言われる技術士試験ですが、必須科目Ⅰに関しては絶対評価としてA評価をもらえる受験生が今年は多いのではと感じています。
必須科目Ⅰが相対評価だとハイレベルな競争となってしまいますが・・・
③選択科目Ⅱ-1-1
試験問題は「路肩」についてでした。
予想キーワードとして「道路構造令」とざっくり挙げていましたが・・・
この手の問題は実際に携わっている技術者でないとわからないというのが本音でしょう。
4つの問題のうち1つだけ選択し解答すればよいので、この手の設計業務に携わっていない技術者は無理に選択することはなかったかと思います。
ただ、他の3問が予想外のため、仕方なく選択した受験生もいたかと思われます。
④選択科目Ⅱ-1-2
試験問題は「災害対策基本法(車両移動措置)」についてでした。
これは予想できなかったですね・・・。
法律そのものは平成26年の話題ですし・・・。
最近、大雨や大雪に備えての訓練も頻繁に行っているので出題されたのでしょうか・・・
何となくは知っている人は多いので、これで勝負した受験生も多かったかもしれません。
論文内容そのものは自信がないかとは思いますが・・・
⑤選択科目Ⅱ-1-3
試験問題は「舗装種別選定」についてでした。
これは、舗装道路協会が令和3年に公表した「舗装種別選定の手引き」の知識でした。
これは知っている人しか解答できないですね・・・。
例年Ⅱ-1-3の舗装系問題はちょっと難しい感じがしますが、今年度も予想・解答が厳しいです。
⑥選択科目Ⅱ-1-4
試験問題は「地すべり対策工」についてでした。
グラウンドアンカー工は昨年も見たような・・・
抑制工、抑止工は平成28年に出題されていますね・・・
実際に携わっている技術者で過去問重視受験生にはラッキー問題だったのでしょうね・・・
結局今年はⅡ-1問題が1つも予想できなかったですね。
正直、Ⅱ-1問題は何となく書ければ合格そのものはできますので、あまり気にせず、他の問題でしっかり点数を稼ぐのが正解かもしれません。
⑦選択科目Ⅱ-2-1、2
選択科目Ⅱ-2の問題は応用能力に関するものとして、今までの経験に基づいたマネジメント能力やリーダーシップ能力が問われます。もちろん最低限の知識は必要ですが、机上だけの技術者ではなく実際の業務に携わっている経験が必要になります。自分自身だけでなく会社として携わっている業務、第三者の体験談などから常に情報を収集し、整理しておくことが大事です。
言い訳になってしまいますが、問題そのものを予想するのは困難かと思います。
今年度は「特定車両停留施設」「交差点立体化(高架橋)」の話題でしたが、大半の受験生は何となく知っていて何となく記述できたというのが現実なのではないでしょうか。
出題形式がパターン化されてきましたので、過去問をしっかりこなしておけば、それなりの準備・対応は可能かと思います。
「特定車両停留施設」は令和3年に出題されていますので、過去問である程度の知識補充ができている受験生は何とかイメージして対応できたかと思います。
「交差点立体化(高架橋)」も過去問で訓練した受験生は何とか対応できたことでしょう。
似たような内容が過去に出題されていますので。
今年の選択科目Ⅱは過去問重視傾向と言えそうです。
⑧選択科目Ⅲ-1
試験問題は「交通安全」についてでした。
この問題に対応するための知識としては「第11次交通安全基本計画」となるでしょう。
国土交通省HPだと「幹線道路」「生活道路」「通学路」に関する交通安全対策がメインになっていますが、交通安全に関するものであれば何でも評価してもらえるかと思います。
「高速道路」「自転車」「無電柱化」「災害時(大雪など)」「高齢者」「物流」など交通安全に関するものであればOKかと思います。
また、ハード整備にこだわらず、ソフト対策でもOKでしょう。
持っている知識から交通安全に関するものを抽出できれば、悩むことなく得意分野で論理展開できたでしょう。
頭の固い受験生(暗記重視タイプ)の方には難問に感じ、応用能力が高い受験生にはサービス問題に感じたかと思われます。
今回の試験の合否のターニングポイントはこの問題の捉え方だったかもしれません。
⑨選択科目Ⅲ-2
試験問題は「SA・PA」についてでした。
突然の話題でしたね・・・
ネットで検索すると「高速道路SA・PAにおける利便性向上の方向性 中間とりまとめ」にたどり着きますが、これは国土交通省ではないですね・・・
ここまで幅広い知識が求められると対応に苦戦しますね。
Ⅲ-1問題が理解できず、泣く泣くこちらを選択した受験生もいたことでしょう。
ただ、高速道路や物流関連などの知識から「大型駐車マス不足」や「一時退出料金」、「次世代自動車」「自動運転」に論理展開できた受験生もいたでしょう。
頭をやわらかくして対応することが求められます。
○まとめ
今年の問題は一言で言うと、「作問委員(問題を作成する人)が変わったので出題傾向が変わった」になるかと思います。
新しい知識だけでなく、過去問も重視しています。
一昔前の出題傾向に戻った印象です。
過去問の分析重視、予想問題重視の受験生には苦しい出題内容となっています。
本来必要な幅広い知識と応用能力が求められる傾向の強い出題内容です。
この傾向は2~3年は続きますので、来年以降は頭の切り替えが必要となる受験生もいることでしょう。
今年度の傾向として、必須科目ⅠはA評価が取れたが、選択Ⅱ、ⅢでA評価が厳しいという受験生が多い予感がしています。
受験生は「公務員」「建設コンサル」「建設会社」など様々な立場で受験していますので、問題内容に不公平、偏りがないことが大事になります。
専門的過ぎる問題文内容もありますが、全体バランスはしっかり取れているかと思います。
大半の受験生の方々は「出題範囲が広く対応できない」と思いますが、合格者はそれでも対応しています。
キーワードが全然頭に浮かばなかった受験生は基本的に「勉強不足」「応用能力不足」と思ってください。
キーワードは浮かんだけど論文として記述できなかった受験生は「手書き論文訓練不足」です。
記述できたけどA評価をもらえない受験生は「自己満足タイプ」が多いです。
自分がどの状態なのか、不合格原因をしっかり把握し来年につなげる努力も技術士には必要です。
既に来年度に向けてスタートしている受験生もいるのですから。
「継続することが合格への一番の近道」です。
途中であきらめると一からやり直しです。
合格するまでやり続けましょう。