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【平成30年度 技術士第二次試験問題 建設部門 道路科目 Ⅱ-2-2】について考える【模範解答イメージあり】

技術士第二次試験 建設部門 道路科目 を受験する受験生を応援するために過去問のポイントを見ていきます。

 

 

問題文

 

 無電柱化は重要な施策であり、近年の災害の激甚化・頻発化、高齢化・障がい者の増加、観光需要の増加等からさらに必要性が増している。中核市において無電柱化の計画・設計を担当する責任者として、下記の内容について記述せよ。

(1)無電柱化を優先整備すべき対象道路の選定の考え方

(2)より効率的に無電柱化を推進するために検討すべき事項

(3)設計・工事を円滑に進めるための、様々な着目点による取組

   

問題文把握

 

まずはしっかり問題文を読み込み、何を解答しなくてはいけないのかを把握しましょう。

今回の場合は、問題文に沿って答えることになりますので、

1.選定の考え方

2.検討すべき事項

3.取組(「様々な着目点」となっていますので最低2つ以上)

の3つの項目に分類されるかと思います。

(この問題文の「キーワード」は「災害の激甚化・頻発化」、「高齢化・障がい者の増加」、「観光需要の増加」、「中核市」とたくさんありますので、キーワードを意識して解答を考える必要があります。)

上記を無視した解答は仮に内容が優れていても、大きく減点されますのでご注意を。

  

論文構成としては 

 

1.選定の考え方

(1)〇〇

(2)〇〇

(3)・・・(個数の指定なし)

2.検討すべき事項

(1)〇〇

(2)〇〇

(3)・・・(個数の指定なし)

3.取組

(1)〇〇

(2)〇〇

(3)・・・(最低2つ以上) 

 

 のような構成が一般的となります。

アンダーラインの有無や1や(1)ではなく①や(a)のような表記でも問題ありません。 

  

記述内容

 

記述内容の例を簡単に記載しますと(※文字数無視で多くの例を示します)

 

1.選定の考え方

(1)防災

 緊急輸送道路や避難所へのアクセス道、避難路等災害の被害の拡大の防止を図るために必要な道路を選定する。特に市街地内のこれらの道路においては、人口密度とともに電柱・電線の密度が高く、より被害が甚大となりやすいため早急に選定する。

2)安全・円滑な交通確保

 高齢者、障がい者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく特定道路や移動等円滑化基本構想に位置付けられた生活関連経路その他駅周辺等の高齢者、障がい者等の歩行者の多いバリアフリー化が必要な道路、人通りの多い商店街等、学校周辺の通学路、歩行者が路側帯内にある電柱を避けて車道にはみ出すような道路、車道の建築限界内に電柱が設置されている道路等安全かつ円滑な交通の確保のために必要な道路を選定する。

(3)景観形成・観光振興

 世界遺産・日本遺産等の周辺や重要伝統建造物群保存地区、景観法、地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律、景観条例等に位置づけられた地域、エコパークジオパークその他著名な観光地における良好な景観の形成や観光振興のために必要な道路を選定する。

(4)オリンピック・パラリンピック関連

 2020 年に東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、わが国の風景や街並の映像が世界に発信される機会が増加することが見込まれることから、センター・コア・エリア内の道路を選定する。(「中核市」というキーワードからズレているかと思いますが・・・おまけとして記載します)

2.検討すべき事項

(1)多様な整備手法の活用、コスト縮減の促進

①多様な整備手法の活用

 効率的に無電柱化を推進するため、地中化以外の手法である軒下配線や裏配線も含め、地域の協力を得て推進する。このため、これまでの事例を踏まえて合意形成の課題を整理し、円滑に合意形成を図る方法や仕組みの確立を目指して検討を進め、普及促進を図る。

 地中化により無電柱化を実施する場合は、収容する電線類の量や地域における需要変動の見込み、道路交通の状況、既設埋設物の状況等に応じ、メンテナンスを含めたトータルコストにも留意しつつ、低コスト手法である浅層埋設方式や小型ボックス活用埋設方式、直接埋設方式の採用によるコスト縮減を図る。

 電線管理者等が既設の地中管路等を有する場合には、これらの既存ストックの活用が可能か検討し、効率的に無電柱化を実現する。

 国及び地方公共団体は、民間の技術・ノウハウや資金を活用するとともに、地方公共団体の財政負担の平準化にも資するPFI 手法の採用を進める。

②低コスト手法の普及拡大

 国は、浅層埋設方式及び小型ボックス活用埋設方式について普及を促進する。また、国、地方公共団体及び電線管理者が連携して直接埋設方式の技術開発を進め、早急な実用化、普及を図る。その際、浅層埋設や直接埋設した電線を他の事業者が毀損することを防ぐため、地下埋設物の位置情報の整備や、地中における明示方法について検討する。

③機器のコンパクト化・低コスト化等技術開発の促進

 電線管理者は、国及び地方公共団体と連携し地上機器や特殊部のコンパクト化・低コスト化、照明柱に設置される柱状トランスの更なるコンパクト化・一体化・低コスト化の技術開発を進めるとともに、必要に応じ、地域の状況に応じた地上機器の大きさや形状、設置場所について工夫を検討する。

 国、地方公共団体及び電線管理者は、昼間工事の拡大、仮埋め戻しが不要又は低コストとなるよう施工方法や仮設の工夫を検討する。

 民間の開発者と連携して技術開発を促進するとともに、「新技術情報提供システム(NETIS)」の活用等により、新技術を積極的に活用する。

④技術情報の共有

 国は、無電柱化を実施したことのない地方公共団体や電線管理者に対して、ノウハウを普及するため、マニュアルの周知や研修等を実施する。

(2)財政的措置

①税制措置

 現在、電線管理者が緊急輸送道路において無電柱化を行う際に、新たに取得した電線等に係る固定資産税を減免する特例措置が講じられているが、国は本措置の効果を検証し、2019 年度以降の措置のあり方について検討する。

②占用料の減額

 国は、直轄国道において、道路の上空に設置されている電線を撤去し道路の地下に埋設するために設置した電線、電線が上空に設置されていない道路の地中に設置した電線等について占用料の減額措置を実施するとともに、地方公共団体にも周知し、同様の減額措置の普及を促進する。

③予算措置

 国は緊急輸送道路等における無電柱化を対象として防災・安全交付金による重点的な支援を行うとともに、無電柱化の迅速な推進や費用の縮減を図るための方策等に関する調査のため、占用制限や占用料の見直し、官民連携の具体的な手法について検討しつつ、社会資本整備総合交付金等を活用して、道路事業に合わせて電線管理者が行う無電柱化を支援する。

 また、国、地方公共団体及び電線管理者は、道路法第37条に基づく新設電柱の占用を禁止している区間について、電線敷設工事資金貸付金制度を活用して無電柱化を推進する。

(3)占用制度の的確な運用

①占用制限制度の適用

 国は、防災の観点から、直轄国道や一部の地方公共団体が管理する緊急輸送道路において実施されている、新設電柱の占用を制限する措置について、未実施の地方公共団体へ普及を促進する。また、このような新設電柱に係る占用制限措置を安全・円滑な交通確保の観点からも講じることを検討し、措置を講じる。

 既設電柱の占用制限について、現に電柱等の道路占用を行っているという電線管理者及び電線によってもたらされるサービスの利用者の既存の利益・期待等にも十分に配慮しつつ、具体的な措置について検討し、措置を講じる。

②無電柱化法第12 条による新設電柱の抑制等

 国は、道路事業の実施に際し、新設電柱等の設置抑制や、可能な場合には、既設の電柱等の撤去を併せて行うことを規定している無電柱化法第12 条を的確に運用するため、現場の実態を踏まえて具体的な運用方針を策定する。また、その実効性を占用制度の枠内で担保するための道路法令の改正を検討する。

外部不経済を反映した占用料の見直し

 日本では戦後の急激な経済成長に対応するため、道路上に多数の電柱等の占用物件が建設されており、外部不経済をもたらす場合がある。国は、それを反映した占用料の見直しを検討する。その際、消費者にとって過度な負担が生じることとならないよう留意するとともに、電柱以外の占用物件との均衡等にも十分に配慮する。

(4)関係者間の連携の強化

①推進体制

 道路管理者、電線管理者、地方公共団体及び地元関係者等からなる地方ブロック無電柱化協議会及び都道府県部会を活用し、無電柱化の対象区間の調整等無電柱化の推進に係る調整を行う。その際、地方ブロック無電柱化協議会等に参加していない中小電線管理者等の意見を適切に聴取するよう努める。

 具体の無電柱化事業実施箇所においては、低コスト手法や軒下配線・裏配線を含む事業手法の選択、工事時期等の調整、地上機器の設置場所、引込設備の集約化等に関して、地域の合意形成を円滑化するため、必要に応じ、地元関係者や道路管理者、地方公共団体、電線管理者による地元協議会等を設置する。

②工事・設備の連携

 無電柱化を実施する際、工事関係者は道路工事調整会議等関係者が集まる会議等を活用し、相互に工事を調整してコスト、工期を縮減するとともに、民地への引込設備を集約するなどにより、効率的に整備するよう努める。

 道路事業等を実施する際、当該事業の事業者は、電線管理者が新設電柱の設置の抑制、既設電柱の撤去を行うことができるよう、事業に関する情報を適切に共有するとともに、電線類を収容する空間、地上機器の設置場所、工事の時期等について電線管理者との調整に努める。

 同様に、ガスや水道の更新時等他の地下埋設物の工事の際に合わせて無電柱化を行うことも効率的であることから、工程等の調整を積極的に行う。

③民地の活用

 道路空間に余裕が無い場合や良好な景観形成等の観点から道路上への地上機器の設置が望ましくない場合においては、地上機器の設置場所として、学校や公共施設等の公有地や公開空地等の民地の活用を、管理者の同意を得て進める。

④他事業との連携

 国及び地方公共団体は、無電柱化の実施に際し、地域の課題を踏まえ、交通安全事業など他の事業と連携して総合的、計画的に取り組むよう努める。

3.取組

(1)広報・啓発活動

 国及び地方公共団体は、無電柱化の重要性に関する国民の理解と関心を深め、無電柱化に国民の協力が得られるよう、「無電柱化の日」を活かしたイベントを実施するなど、無電柱化に関する広報・啓発活動を積極的に行う。

 また、無電柱化の効果について、実例の収集・分析等を進め、理解を広げるとともに、無電柱化のコストや工事への理解・協力を促進するよう努める。

(2)地方公共団体への技術的支援

 国は、地方公共団体での取組と国民の理解・協力を促進するため、地方公共団体に対し、地域のニーズに応じた条例の制定や、都道府県無電柱化推進計画及び市町村無電柱化推進計画の策定を推奨し、必要な技術的支援を積極的に行う。

(※実際は文字数制限でこんなに多く記述できませんので、記述しやすい項目、暗記しやすい項目を選択します)  

 

まとめ

 

1番大事なことは問題文をしっかり読み込み、聞かれていることをしっかり把握することです。問題の題意からズレてしまっては、どんなに立派な知識を論じても点数につながりません。問題文を理解するのに時間を費やすことも必要です。また、指定文字数を超えると「失格」になりますので、それだけは絶対に避けてください。

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