筆記試験合格者【Sさま】からA評価論文をご提供していただきました。
受験生の方はぜひ参考にしてください。
1.高速道路の暫定2車線に対する課題
(1)耐災害の脆弱性の克服
我が国は大規模災害に毎年のように襲われており,暫定2車線区間で大規模災害の被災を受けた時,高速道路に隣接する斜面からの土砂流出により車線は途絶え長期にわたり通行が不能となってしまう。
よって,ネットワーク維持の観点から,耐災害の脆弱性の克服が課題である。
(2)道路利用者の安全性向上
暫定2車線区間は中央分離帯がなく,4車線区間に比べて対面衝突等の交通事故が多く,2車線の4倍である。
よって,ドライバー等を守る観点から,道路利用者の安全性向上が課題である。中央分離帯箇所へのワイヤーロープやライジングボラード設置により,道路利用者の安全性が向上する。
(3)渋滞による損失時間の解消
大都市圏の暫定2車線区間は慢性的に渋滞しており,社会経済活動において損失時間が生じている。
よって,社会経済活動の損失解消の観点から,渋滞による損失時間の解消が課題である。AIやETC2.0のプローブデータを活用した交通マネジメントやピンポイント渋滞対策により損失時間の解消が図られる。
2.最も重要な課題と複数の解決策
道路利用者の安全や渋滞による損失よりも,ネット-
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ワークそのものの維持の方が大切なので,前述の(1)が最も重要である。
(1)高速道路ネットワークの維持
暫定2車線区間のリダンダンシーを強化し,早期に復旧ができるようにする。
具体的には,暫定2車線区間の直轄国道とのダブルネットワーク化により一方が被災を受けてももう片方がネットワーク機能を維持させる。
また,暫定2車線区間を4車線にすることにより,片側2車線が隣接斜面からの土砂流出によりふさがれても上下線の残り2車線で応急的な通行を可能にし,早期の復旧を可能にする。
(2)首都圏から東南海エリアの6車線化
首都圏直下地震や南海トラフ地震が切迫している。このエリアが大規模災害により被災を受けた時の社会経済上の損失は大きい。よって,首都圏から東南海エリアの高速道路の6車線化を図る。
6車線化により,大規模自然災害に対する耐災害性は強化され,社会経済上の損失は少ない。
また,新広域道路計画に基づく,アジア・ユーラシーアの2軸型国土計画に基づき整備を図る。
3.新たに生じうるリスクと対策
(1)新たに生じうるリスク
直轄国道とのダブルネットワーク化や4車線化,首都圏から東南海エリアの6車線化のいずれも,整備箇
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所は無数にあるが,財源は限られているので,早急な整備は困難で,全ての事業が完了するまで期間を要することが新たなリスクである。
(2)リスクへの対策
これへの対策はリスクアセスメントに基づく優先順位により事業を行うことである。
リスクアセスメントにおいては,重要港湾や主要駅とのアクセスや過去の災害履歴をファクターとして考慮し,実施する。
リスクアセスメントの実施による整備においても事業は早期に完了できないが,我が国にとって重要な箇所の保護が優先的に図られる。
※コメント
課題、解決策が明確に記述されていますし、非常に読みやすい論文に仕上がっています。
課題部分において、観点、課題を記述したあとに軽く将来展望を記述する独特の記述形式です。
全体としては、ちょっと文字数が不足している感じがしますが、内容そのものは特に問題なく、危なげなくA評価を取れた論文だったと思います。