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【A評価論文 令和3年度 道路科目 Ⅲ-1 その2】

筆記試験合格者【Tさま】からA評価論文をご提供していただきました。

受験生の方はぜひ参考にしてください。

 

 

(1)多面的な課題

(1)-1 人命を最優先に考慮した対策

 近年、降雪・積雪回数は年々減少傾向にあるが、短時間に集中的な豪雪に見舞われた場合に、車両の大規模滞留の恐れがある。

 これは、降雪・積雪時に道路ネットワーク機能確保を優先したことが一因と考えられる。

 このため、人命を最優先とする観点での、降雪・積雪対策が重要な課題である。

(1)-2 ドライバーの意識改革

 集中的な、降雪・積雪時に、1台の車両の立ち往生がきっかけとして、大規模な車両滞留につながる。

 これは降雪・積雪時に、道路ネットワークの信頼性が高いことから、無防備な装備(冬用タイヤ未装着、チェーン不携帯)であることが挙げられる。

 このため、冬用タイヤ装着やチェーン携帯の監視強化や、厳罰化を図ることが、ドライバーの意識改革の観点から重要な課題である。

(1)-3 除雪の担い手確保

 道路の除雪機械による除雪や、凍結防止剤散布等を実施する、地域の建設産業が、除雪業務を辞退する等の担い手不足問題が深刻化している。

 原因として、利益が出ないこと。待機を多く強いられること。また、通常工事以外の人員確保が困難であることが原因と考えられる。

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 このため、除雪業務の積算見直しや、除雪新技術の導入等による除雪業務の受注者環境の改善の実施が、除雪業務の担い手確保の観点から重要な課題である。

(2)最も重要な課題と複数の解決策

(2)-1最も重要な課題

 (1)-1人命を最優先とした対策が国民の安全・安心確保のため最も重要な課題と考える。

(2)-2複数の解決策

①人命を最優先とした通行止め実施

 令和2年度の降雪・積雪時の車両の大規模滞留は、ダブルネットワークの一方を通行止めにして集中除雪を行う際に、もう一方の道路を通行可能としたことが原因として発生した。

 このため、やむを得ない場合はダブルネットワークの同時通行止めを行い、大規模滞留を避け人命を最優先とすることが必要である。

 社会的受容を得るために国民への広報等での発信も必要と考える。

DXの活用

 DX技術の活用により迅速で効率的な除雪対策を行い通行止め等の最小化を図ることが必要である。

 具体的には、気象レーダーの高精度化、ドローンやCCTVによる積雪状況の早期把握、ICT除雪機械の無人運転の実施などが必要である。

③道路構造の改良

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 降雪・積雪時の大規模滞留時には、車両の方向転換や、側方からの除雪等が困難な場合が多いため、道路構造の改良が必要である。

 具体的には、Uターン場所設置、中央分離帯開口部の設置、暫定2車線区間の4車線化等が必要である。

④タイムラインの活用

 効率的な除雪や、通行止め実施には、タイムラインを道路管理者が作成する必要がある。

 これにより、効率的で迅速かつ確実な除雪対策を行う。

 タイムライン作成に当たっては、関係機関との連絡体制や、除雪業者等の連絡体制を明記しておく。 

(3)新たに生じうるリスクとそれへの対策

(3)-1新たなリスク

 除雪実施を行う、道路管理者や除雪業者の除雪に関する技術力確保が困難となる恐れがある。

 特に、地方自治体や小規模業者の技術力確保が困難となる可能性がある。

(3)-2対策

 国や高速道路会社が主体となって除雪に関する技術研修や技術支援を行う。

 また道路メンテナンス会議等への参加により、多様な管理者との技術共有を行うことでレベルアップを図ることが重要と考える。               

 

 

※コメント

課題、解決策が明確に記述されていますし、非常に読みやすい論文に仕上がっています。

解決策の記述リズムの統一性が少し欠けている印象です。

具体的な内容があったりなかったりすると、単に知っている知識を並べただけの印象になっている部分が少し残念です。

全体としては危なげなくA評価を取れた論文でしょう。