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【A評価論文 令和4年度 道路科目 Ⅲ-2】

【Kさま】からA評価論文をご提供していただきました。

受験生の方はぜひ参考にしてください。

 

( 1 ) 3つの課題抽出とその内容

1 ) 大型車利用の適正化

 近年、コロナ禍により物流需要が高まり、国際コンテナの流通も増加している。しかし、中には違法な過積載車両の通行も見られ、0 . 3 % の違法車両がインフラ施設の劣化に与える影響は、全交通の約9 割を占め、改善が求められる。

 したがって、インフラ施設長寿命化の観点より、大型車利用の適正化が課題である。

2 ) 「予防保全」への本格転換

 我が国は、人口減少に伴う財源の減少、インフラ施設大更新時代への突入が見込まれている。異常が生じてから対策を行う「事後保全」に比べ、異常が生じる前に対策を行う「予防保全」の方が3 0 年後のコストが約5 0 % 縮小されることが判明している。

 したがって、コスト縮小化・予算平準化の観点より、「予防保全」への本格転換が課題である。

3 ) 更新工事が与える社会的影響の軽減

 我が国は今後、インフラ老朽化に伴い、更新工事の大幅な増加が見込まれる。しかし、長期間にわたる通行止めや交通規制による交通渋滞が生じており、経済活動や、国民生活に影響が生じる事案が発生しており、国民活動を保ちつつ工事を行うことが求められる。

 したがって、経済活動維持の観点より、更新工事が与える社会的影響の軽減が課題である。

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( 2 ) 最も重要と考える課題と解決策

 ( 1 ) で挙げた課題のうち、最も重要と考える課題は、「3 ) 更新工事が与える社会的影響の軽減」である。なぜなら、更新工事によって公益を損なうようでは、国民の理解が得難く、円滑な更新工事の支障となる恐れがあるからである。以下に解決策を述べる。

1 ) 交通シミュレーションの活用

 更新工事が与える社会的影響の軽減に向けた解決策として、交通シミュレーションの活用が挙げられる。なぜなら、交通シミュレーションの活用により、短期間の全面通行止めを行った、集中的な工事の実施と、片側通行を確保し、長期間交通規制を行った工事の実施でどちらが社会的影響が大きいか判断が容易になるためである。また、自治体が所有するビックデータの活用により、効率的な交通シミュレーションの作成が期待できる。

2 ) 料金制度の活用

 更新工事が与える社会的影響の軽減に向けた解決策として、料金制度の活用が挙げられる。なぜなら、更新工事期間中の利用料金の調整により、迂回路への円滑な誘導が可能となり、交通渋滞の発生を防ぐことが期待できるためである。具体的には、工事を行う路線の通行料金と、代替路となり得る路線の通行料金を同一、あるいは代替路を低料金とし、迂回路への通行を促す。

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3 ) 情報公開の徹底

 更新工事が与える社会的影響の軽減に向けた解決策として、情報公開の徹底が挙げられる。なぜなら、事前に更新工事情報を公開し、周知させておくことで、迂回路への誘導や利用時期の分散が期待できるためである。具体的には、メディアやS N S を活用し、情報を公開する。また、S A ・P A に設置されている情報版の有効活用も行う。

( 3 ) 新たに生じうるリスクと対策

1 ) 新たに生じうるリスク

 新たに生じうるリスクとして、情報・データ活用を行う上でのノウハウ不足、技術不足が新たなリスクとして挙げられる。

2 ) 対策

 積極的な民間との連携が対策として挙げられる。なぜなら、民間と連携して事業を行うことで、民間が持つ知識や技術を有効活用することができ、人材育成にもつながるためである。専門技術者による積極的な講習会の開催や、地方に専門技術者を派遣することで、地域間のノウハウ格差の解消も期待できる。また、民間にとっては事業展開の場の創出につながり、経済活性化も期待できる。

以上。

 

※コメント

論理の飛躍などもなく、内容もわかりやすいものになっています。

危なげなくA評価がもらえた論文だったでしょう。