技術士第二次試験を受験するに当たって、覚えて(理解して)おきたいキーワードとして、今回は「耐災害化強化」について記述します。
基本は国土交通省などのネット情報などを集約したものです。
内容をきちんと理解することにより、どんな問題にも対応できるかと思います。
暗記をするのではなく、理解してこそ論文に活かせるようになります。
参考
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/sdt/pdf/t01.pdf
<概要>
災害時に生命線となる道路について、迫る大災害に対し、ソフト・ハードの両面から万全を期すべく、近年の大災害から得られた教訓と今後講ずるべき施策等を検討するため、「道路の耐災害性強化に向けた有識者会議」を設置。
令和元年7月9日、「道路の耐災害性強化に向けた提言」を公表。
<提言概要>
○近年の主な災害での課題
①道路および周辺施設の損壊等による応急復旧作業等への支障
②踏切の遮断による救急活動等への支障
③通行規制・交通集中による渋滞発生と対策の遅れ
④特殊車両の通行許可審査の遅れ
⑤エネルギー障害による状況把握の遅れと通行止めの長期化
○教訓(解決施策)
①多車線区間におけるジグザグ啓開により早期復旧が可能
②耐震補強や無電柱化、踏切立体化の推進が重要
③交通マネジメントによる渋滞対策が不可欠
④被災地に向かう特殊車両の通行許可審査に対する優先処理が必要
⑤停電時に道の駅の非常用発電機が機能
※まとめると
①(課題)道路および周辺施設の損壊等による応急復旧作業等への支障
(施策)多車線区間におけるジグザグ啓開により早期復旧が可能
現状は片側1車線道路が多く、災害で通行止めになる可能性が高い。そこで、避難経路など重要路線は他車線区間等で整備し、1車線が通行できなくなっても、仮にジグザグ啓開になっても、通行さえできれば、早期復旧が可能になるということですね。具体策として、この後にでてくる「(3)災害に配慮した道路構造令等の見直し」を参考に
②(課題)踏切の遮断による救急活動等への支障
(施策)耐震補強や無電柱化、踏切立体化の推進が重要
災害時の通行止めは道路や橋梁だけでなく、踏切も忘れてはいけません。踏切の災害対策強化もセットで覚えておきましょう
③(課題)通行規制・交通集中による渋滞発生と対策の遅れ
(施策)交通マネジメントによる渋滞対策が不可欠
後に記述した「(1)「発災後の統括的交通マネジメント」実施体制の制度化」を参考
④(課題)特殊車両の通行許可審査の遅れ
(施策)被災地に向かう特殊車両の通行許可審査に対する優先処理が必要
重要物流道路などの影響で特車通行許可制度が改善されてきています
⑤(課題)エネルギー障害による状況把握の遅れと通行止めの長期化
(施策)停電時に道の駅の非常用発電機が機能
○耐災害性強化の本格実施に向けて
(1)「発災後の統括的交通マネジメント」実施体制の制度化
災害発生前の常時から交通マネジメントに係る統合的な組織を構築し、災害時には常時に行政が有する以上の特定の権限を与え、関係者に対して予算措置や必要なデータ共有も含めた協力を義務付ける制度が必要
・学識経験者、道路管理者、警察、公共交通事業者に加え、学校関係者や経済界の代表、市民の代表も参画
・学識経験者をトップとすることを基本として、オープンに議論
・常時の交通マネジメントのルールにとらわれない迅速で柔軟な施策を展開
(2)非常時における柔軟な車線運用のメニュー化と共有
非常時における耐災害性を高めるための技術をメニュー化し、徹底的に活用するために関係者間で共有する仕組みづくりが必要
・路肩の積極的な活用による走行空間の確保
・LEDを利用した区画線標示の活用などにより、フレキシブルに車線幅員(車線数)を設定
(3)災害に配慮した道路構造令等の見直し
これまでは経済性を優先するあまり、災害や大事故などの非常時に対する対応能力を減殺する結果を生じさせてきたため、災害時には道路に一定の欠損が生じることを前提として、災害に配慮した整備水準へと見直す必要
・2車線の道路の路肩を従来よりも拡幅
・救急車等の緊急車両のための緊急入退出路を設置
・回復力・復元力のある構造として原則4車線化
・緊急車両の駐車・停車機能強化のための道の駅やSA・PA等の容量拡大
(4)道路ネットワークの耐災害性評価手法の充実と沿道リスクアセスメント制度の導入
道路ネットワークの耐災害性を評価する手法を充実させ、道路区域外のリスクを含めたアセスメントを実施する制度の検討が必要
・地方道も含めた耐災害ネットワーク構築の枠組みを整理した上で路線毎の評価を実施
・道路区域外に起因する斜面災害に加え、隣接する河川の増水や倒木等のみならず、横断構造物や隣接する建造物の耐震性不足などがもたらすリスクについて、土木工学や森林学、地質学、地形学等の幅広い関係者と連携して検討
(5)迅速な復旧に向けたトレーニング強化
国と地方自治体が常時から連携して、復旧計画の策定方針やタイムラインを議論するなど、事前準備の強化が必要
・幹線道路から末端の地方道までが連携した復旧計画を策定
・地域の中に復旧に必要な工事用車両等をいかに配備するかといった検討を、地域と連携して実施
・道路啓開情報を公表するタイミングと公表内容について、自衛隊や消防、警察等と事前に調整
(6)徒歩避難が困難な場合の避難手段の検討
地震・津波発生時の避難行動について、徒歩での避難が原則となっているが、津波到達時間、指定緊急避難場所までの距離等を踏まえて、自動車により避難せざるを得ない場合など一定の条件を満たす地域においては、自動車を利用した避難を前提として避難計画を策定した方が有効な場合もある
・地域の実情に応じて、自動車で安全かつ確実に避難できる方策をあらかじめ検討する必要
<論文での活用>
提言概要から「課題」「解決策」が導かれます。
このまま論文に活用できる内容です。
内容をしっかり理解し、出題内容に応じてうまく使いこなせるように準備しておきましょう。
どのような問題が出題されても、しっかりとした知識があれば対応(応用)できるようになります。
少しでも参考になったのであれば幸いです。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。